豪・水泳連盟会長がドーピング疑惑の中国・孫楊をけん制「世界は注意深く見ている」

孫楊(ロイター)

一連のドーピング疑惑について、スポーツ仲裁裁判所(CAS)再審の結果が待たれる五輪競泳金メダリストの孫楊(中国)に対し、オーストラリア水泳連盟のトップが「世界は注意深く見ている」とにらみを利かせた。

孫は中国水泳協会の特例により、予選会なしで東京五輪出場資格を得ている。あとはCASから“無罪判決”が出るのを待つばかり。しかし、ライバル国のオーストラリアを始め、世界では歓迎ムードはない。オーストラリア「9ニュース」は同国水泳連盟キーレン・パーキンス会長のインタビューを掲載。同会長は孫について「もし、彼が東京五輪でうまく泳げば、失格選手を管理する方法について、中国に対してかなり重要な問題が提起されるでしょう」と指摘。「このような事件で出場停止や失格となった場合、チームと一緒に練習をしたり、公式ルートを通じてスポーツと交流したりすることはできないというルールは非常に明確。もし、彼がうまく泳いだなら、彼はどこで誰と練習をしていたのかを聞く必要がある」と、中国側がルールに反し、孫を強化していた疑惑を追及する必要があると話した。

孫は一度、8年間の資格停止処分を受けているが、CAS裁定者の一人に人種差別的傾向があったとしてスイス連邦最高裁判所により奇跡的に差し戻しされた。だが、新たな裁定者に変わった再審でも、同様の厳しい判定が下れば東京五輪は絶望となる。

パーキンス会長は「現在行われているプロセスが正しい判断を下すという信念を持ち続けたい」と孫の停止処分が変わらないことを期待していると話した。

6月中に下されると言われる判定。中国の暴れん坊の行方を世界は注視している。

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