プロデューサー・澤田賢一氏 話題沸騰のドラマ「スイートリベンジ」の原案復讐劇は実体験!

制作秘話を明かした澤田氏

【直撃!エモPeople】革新的だと話題沸騰中のドラマを生み出したヒットメーカーを直撃した。女優・夏菜(31)主演で今春、放送・配信がスタートした連続ドラマ「スイートリベンジ」(フジテレビ系)は、テレビ局が制作した漫画原作では史上初のドラマ化。プロデューサー・澤田賢一氏(54)は若き日に本紙に登場していた珍アイデアマンで、何とビックリ、今作は実体験がベースになっているという。

物語は、男にひどいフラれ方をして身も心もボロボロになった女性から依頼を受けた「株式会社スイートリベンジ」社長・マリコ(夏菜)が男に同じ痛みを与えて復讐する。マリコはターゲットの男好みの女性に変身しほれさせ骨抜きにし、最後は容赦なく地獄に落とす。3月末から放送開始され、フジテレビ公式動画配信サービス「FOD」で配信中だが、女性にとっては痛快復讐コメディー、男性にとっては反面教師的に勉強になる作品だ。

プロデューサーの澤田氏は「劇団俳優座映画放送部」所属。原作漫画から制作に携わった生みの親で、原案は自身の実体験が基だという。

「20年以上前、30代前半のころ、ある大企業のOLさんと合コンし、ものすごいきれいで好きなタイプの女性からアプローチされて舞い上がって、5回目のデートで『付き合ってください』と告白した。すると、忘れもしない、第一声は『はぁ?』。『何、勘違いしてるの? 私がアンタと付き合うわけないでしょ。あなた、自分の顔を鏡で見たことある?』とコテンパンにフラれたんです」

考えたら、伏線はあった。女性と出会う数週間前に別れたのが、同じ会社の女性だったのだ。

「その前の女性は告白されてお付き合いをしたんですが、タイプじゃなかったからすぐに交際は終わった。ひどいことはしてないんですが、僕がフッた形になり恨まれていたんです。2人は同じ会社なので知り合いだったらマズいなと思いましたが、年齢も部署も違うし、接点はなさそうだから、まぁ大丈夫だろうと。後々、わかったのは2人は同期入社の大親友だったんです。証拠はないですが、親友に代わって復讐されたに違いないと思ったわけです」

実は澤田氏、本紙にも過去に“合コンの鉄人”として登場している。2006年の「合コン最新兵器 モバコンの驚異的成功率」という記事で、ケータイでQRコードを読み取る当時最先端の合コンゲームの考案者・S氏として解説していた。

「当時は週2で合コンをしてて、これまでの人生で合コンした女性は3000人くらいでしょうか。交際にいたったのは30人くらいかな。その割に復讐されて、改心したからいまだに独身なのかもしれません(笑い)」

常人ではあり得ない数をこなした合コンの経験がのちに、女性のための復讐屋が主人公の漫画、ドラマにつながった。

澤田氏はプロデューサーとしても異色だ。「クイズ世界はSHOW byショーバイ!!」(1988~96年、日本テレビ系)などのバラエティー番組や、「午後は○○おもいッきりテレビ」(87~2007年、同系)といった情報番組の制作に約25年間携わった後、ドラマに転向。最近ではシリーズ化した「ラブホの上野さん」(フジテレビ系)や「高嶺と花」(同)など漫画原作作品を担当した。

「漫画原作ドラマが多いと視聴者が感じるのはこの数年、電子書籍などで小説・漫画の作品数が多くなり、レベルが上がったからだと思います。『スイートリベンジ』も最初はフジテレビにドラマ企画で持ち込んだのですが『題材が漫画に向いている。FODは漫画配信もやっているし、オリジナル漫画も出したいので、まずは漫画で話題にして好評ならドラマ化しよう』と言われて漫画が出来上がりました」

昨年秋、漫画「スイートリベンジ」はバズり、電子書籍BookLive!の少女・女性漫画月間ランキング1位、総合月間ランキングでは「鬼滅の刃」「呪術廻戦」に次ぐ3位まで大ヒット。テレビ局制作の漫画原作では史上初のドラマ化が決まった。

澤田氏は「まず、テレビ局の枠に応じて50~100本のライバルに勝って企画を通すのが第一。スタッフが楽しく仕事してくれるのが一番うれしい。その先に視聴者、視聴率ですが、求めている人に応じたものをちゃんと作るというモットーは変わりません」。ヒットメーカーのアイデアは今後も尽きそうにない。

☆さわだ・けんいち 1967年2月18日生まれ、愛知県蒲郡市出身。番組制作会社に入社後、23歳でフリー。ディレクターとしてバラエティー、クイズ、情報、ドキュメンタリーの各番組を演出。その後、ドラマ制作に主軸を移し、2014年「LOST IN TOKYO」(NHK)、16、17年「ラブホの上野さん」、19年「歌舞伎町弁護人 凛花」(BSテレ東)などを企画しプロデューサーを務める。

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