ノーベル化学賞の根岸英一さん死去 神奈川ゆかりの地で惜しむ声「大きな誇り失った」

根岸さんの功績を紹介する記念プレート=大和市役所

 2010年にノーベル化学賞を受賞した米パデュー大名誉特別教授の根岸英一さんの死去に、小学校から大学卒業まで過ごした神奈川県大和市や、卒業した県立湘南高校(藤沢市)の仲間から惜しむ声が相次いだ。

 旧満州で生まれた根岸さんは戦後、大和市南林間に移り住んだ。市立大和中学、湘南高校で同級だった元市議会議長の石川公弘さん(87)は突然の訃報に「近年、体調が優れないということは聞いていたが、大きなショックを受けている。仲間として大きな誇りを失った」としのんだ。

 根岸さんとは中学時代に野球などで遊んだといい、「頭が飛び抜けて良いという印象はなかったが、高校に進学して一気に伸びた。同窓会にもよく顔を出し、歌が好きで楽しい思い出ばかり」と懐かしんだ。

 根岸さんにはノーベル賞受賞の功績で10年、市から「名誉市民」の称号が贈られた。11年には地元住民らが小田急線南林間駅周辺の市道約1.7キロを「やまと根岸通り」と命名し、根岸さんは受賞5周年のイベントにも妻らと参加した。

 当時、関わった南林間地区街づくり協議会会長の鈴木良夫さん(83)は「命名は街の歴史で一番の喜びだった」と振り返り、「その後も根岸さんは来日し、ふるさととして愛着を持ってもらえたと思っている。突然の訃報に驚いている。しのぶ会のようなものを今後考えたい」と話している。

 大木哲市長は「功績や人柄に多くの市民が励まされ、勇気を頂いた。その存在は大和市民にとって誇りでした」とのコメントを出した。

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