新潟市江南区の道正遺跡の発掘現場が一般公開

古墳時代の竪穴建物の遺構と当時の予想図

新潟市文化財センターは12日、新潟市江南区割野の「道正遺跡」の発掘調査の現地説明会を開催し、10時の会場の時点からすでに多くの市民で賑わった。

「道正遺跡」は新潟中央環状線建設工事に先立って実施された2018年の試掘調査で発見された遺跡で、これまでに縄文時代晩期(約2,700年前)、古墳時代前期(4世紀)、平安時代(9世紀)の遺物と遺構が見つかっている。4月からは2019年、2020年に続き、環状線に付帯する市道部分720平方メートルを調査している。

平安時代の遺構

古墳時代の竪穴住居には実際に中へ踏み入ることができた

これまでにも2020年10月に現地説明会を開催したが、今年度は新たに平安時代の掘立柱建物2棟と、古墳時代の竪穴建物1棟が出土。遺跡は、現在も周囲より標高が高くなっている亀田砂丘の延長線上に存在しており、かつてはこの一帯も砂丘であったことから、沼や潟を避けてこの高台に人々が居住していたと考えられる。

特に前述の竪穴住居は、調査範囲の関係から半分しか調査できないが、1辺8.6メートル、推定面積74平方メートルの大型の住居である。また、この建物は盛り土により床が高くなっていることに加え、周囲に溝が掘られていることから、土を伝わってくる湿気を隅の溝へ逃がす類を見ない構造になっていたのではないかと考えられているという。

また、県内最大級となるヒスイの勾玉や、船を描いたと思われる刻線土器が出土し、周辺の潟湖を伝って川へ出た当時の人々の暮らしぶりや、交易網の広さに思いを馳せることができる。

最大長4.76センチメートルと県内最大級のヒスイは実際に手に取ることが可能

古墳時代前期の準構造船が描かれた土器は県内初出土となる

平安時代の住居に用いられていた柱の一部

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