【渡辺薫&柏木集保「私たちはこう見た」 エプソムカップ】
渡辺 ザダルが5度目の挑戦で初の重賞タイトルを手にした。
柏木 はい。レース前は8か月ぶりで少しイレ込んでいましたけど、この東京1800メートルには良績も持ちタイムもありましたからね。いろいろなタイプが集まって人気は割れてましたが、終わってみれば強い勝ち方だったと思います。
渡辺 そうだな。GⅢとはいえ、メンバー的には実質GⅡレベル。数字的にも勝ちタイムの1分45秒1は同レース史上最速タイ。それも馬場の外めを回って勝ち切ったんだから、着差以上に中身は濃いよ。
柏木 同感です。ペースも決して速くないし、インコースを通った馬が上位を占めたことを考えれば、このタイムは価値があります。
渡辺 とにかく直線で抜け出してくる時の脚が速かった。5歳馬だが、まだキャリアは浅い。今回は久々で12キロの馬体増だったように、一段とパワーアップしたということだろう。秋が楽しみになってきたよ。
柏木 2着サトノフラッグも復調をアピールする内容でした。2000メートル未満の距離を使うのは今回が初めて。それで戦前の評価は分かれていましたが、もともと脚の使いどころが難しいタイプ。むしろ、これくらいの距離のほうが合う印象を受けました。
渡辺 確かに。6番人気と盲点になっていたけど、直線の伸び脚は勝つくらいの勢いがあった。こちらは4歳馬。今後の展望が開けたのは言うまでもない。
柏木 3着ファルコニアも4歳馬。3歳時に重賞でも好走していますが、昇級していきなり通用したんですから立派です。川田ジョッキーのコース取りも大正解でしたね。
渡辺 ヴェロックスも今回はパドックから雰囲気が良かった。これも立ち直ってきたとみていいだろう。
柏木 対照的に1番人気のアルジャンナは10着に大敗。パドックでかなりうるさかったですから、このあたりが敗因でしょうかね。
渡辺 う~ん、まったくいいところがなかったからな。メンタル面はもちろん、体力的にも全然できてなかったのか…。この感じでは少し時間がかかりそう。アドマイヤビルゴ、シュリは東京コースが初めて。厳しい競馬を経験していない分、モロさが出てしまった。
柏木 わたしが本命に期待したヒュミドールは6着。でも、上がりは勝ち馬と同じでメンバー2位タイ。やはり、この距離が合うし、条件が揃えば、いつか一発がありそうな気がします。