マグヌッセン&チップ・ガナッシ、同門対決を制しデトロイトでDPi初優勝/IMSA第4戦

 6月12日、アメリカ・ミシガン州デトロイトのベル・アイル・ストリート・サーキットでIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第4戦の決勝レースが行われ、元F1ドライバーであるケビン・マグヌッセンのドライブによってポールポジションを獲得したキャデラック・チップ・ガナッシ・レーシングの01号車キャデラックDPi-V.R(マグヌッセン/ランガー・バン・デル・ザンデ組)が初優勝を飾った。

 NTTインディカー・シリーズとの併催イベントとして行われた今戦は、IMSAの通常のレースフォーマットより1時間短い1時間40分の“スプリント”で争われた。

 その決勝グリッドには前日に行われた予選で、IMSA参戦4戦目にして早くも初ポールを奪ったマグヌッセン駆る01号車キャデラックを先頭に、55号車マツダRT24-P(マツダ・モータースポーツ)、31号車キャデラックDPi-V.R(ウェレン・エンジニアリング・レーシング)、前戦ウイナーの10号車アキュラARX-05(ウェイン・テイラー・レーシング)が並ぶ。

 迎えた土曜夕方の決勝は、インディカー第7戦決勝の赤旗中断に伴うスケジュールの遅延によりレース開始が1時間ディレイに。北米スポーツカーシリーズの決勝は現地18時05分にスタートが切られることとなった。

 そのスタートではマグヌッセン駆る01号車キャデラックが順当にポジションを守った一方、ハリー・ティンクネルの55号車マツダは31号車キャデラックと5号車キャデラックに交わされ4番手に後退する。
 
 レース開始6分後、複数のGTDカーが絡むアクシデントの影響でセーフティカー(SC)が導入される。約10分後にリスタートが切られるが上位陣の順位に変動はなく、キャデラック勢がトップ3を独占するかたちでレースが進む。
 
 動きが見られたのはスタートから30分過ぎのこと。55号車マツダがトリスタン・ボーティエ駆る5号車を交わして3番手に順位を上げる。その約20分後、マツダがピットインしたのをきっかけにDPiクラスの各車が続々とピットに戻りドライバーを交代してトラックに戻っていく。
 
 このルーティンピットワークを経ても依然、トップは01号車キャデラック。2番手に31号車キャデラックが続くが、最後までピットインを遅らせた10号車アキュラがオーバーカットを成功させ3番手に浮上した。

 レース後半はこの10号車を先頭に55号車マツダ、5号車キャデラックが続き、1パックになって3番手争いを繰り広げるが、抜きどころの少ないストリートサーキットでのオーバーテイクが容易ではなく膠着状態に。
 
 それはトップを争う2台も同様で、バン・デル・ザンデと逆転を狙うフェリペ・ナッセ(31号車キャデラック)のバトルはピットアウト後から2度目のSCが導入されたレース最終盤まで続いた。フィニッシュまで残り3分で迎えたリスタート後、2台のキャデラックは最後まで接近戦を演じるが、ついぞ逆転には至らず。01号車キャデラックがトップチェッカーを受け、今季IMSA最高峰カテゴリーに復帰したチップ・ガナッシにDPiカーでの初勝利をもたらした。

IMSA DPiで初めてのポールポジションを獲得したケビン・マグヌッセン(キャデラック・チップ・ガナッシ・レーシング)
IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第4戦デトロイトのスタートシーン
ウェレン・エンジニアリング・レーシングの31号車キャデラックDPi-V.R

■GTD優勝マシンにペナルティ、クラス最後尾に降格へ

 ピポ・デラーニ/ナッセ組31号車は勝利まで0.573秒届かず2位。3位表彰台はオリバー・ジャービス駆る55号車マツダの追撃を振り切った、10号車アキュラのリッキー・テイラー/フィリペ・アルバカーキ組が手にしている。マツダ・モータースポーツは4位でフィニッシュした。

 地元凱旋のコルベット・レーシングが走らせる2台のシボレー・コルベットC8.RのみがエントリーしたGTLMクラスでは、3号車が序盤にチームメイトの4号車を逆転し、クラス首位に立つも1度目のSC明けに再逆転を許してしまう。

 ポールシッターの4号車はその後、僚機を10秒以上引き離してみせるが、2台はレース終盤にかけてふたたび接近する。リスタート後の超スプリントは0.226秒での決着となり、トミー・ミルナー/ニック・タンディ組4号車が僅かな差で地元での勝利を飾った。

 最多12台での争いが繰り広げられたGTDクラスは、序盤からアクシデントが相次いだ。その中には表彰台圏内を走っていたバッサー・サリバンの12号車レクサスRC F GT3と他車の交錯や同チーム14号車レクサスのパンク、終盤2番手を走っていた96号車BMW M6 GT3(ターナー・モータースポーツ)のストップなどが含まれたが、予選ポールポジションからスタートを切ったカーバーン・ウィズ・ペレグリン・レーシングの39号車アウディR8 LMSは終始レースをリード。後続のアクシデントを尻目にトップチェッカーを受けた。

しかし、39号車アウディはバランス・オブ・パフォーマンス(BoP)に記載されている40秒の最少給油時間よりも早く給油を終えていたことが判明したため、ペナルティを受けることに。これにより優勝が剥奪され、同車のリザルトはクラス最後尾に移動している。
 
 39号車の降格の影響でクラス2位でフィニッシュしたハート・オブ・レーシングチームの23号車アストンマーティン・バンテージGT3が繰り上がりで優勝。同3位となったGRTグラッサー・レーシング・チームの19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3 Evoも2位に繰り上がり、4位でフィニッシュしたグラディエント・レーシングの66号車アキュラNSX GT3 Evoが3位となった。
 
 シーズン序盤戦が終了し中盤戦へと入るIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の次戦第5戦はグレン6時間レースだ。3月のセブリング12時間以来、約3カ月ぶりに全5クラスが集う同レースは6月27日、ニューヨーク州のワトキンスグレン・インターナショナルで開催される。

コルベット・レーシングの4号車シボレー・コルベットC8.R(左)
カーバーン・ウィズ・ペレグリン・レーシングの39号車アウディR8 LMS
ハート・オブ・レーシングチームの23号車アストンマーティン・バンテージGT3
ウェイン・テイラー・レーシングの10号車アキュラARX-05
マツダ・モータースポーツの55号車マツダRT24-P

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