小型のイルカ「スナメリ」 大村湾で31頭確認 佐世保・海きらら

5月8日の調査で確認されたスナメリの親子=大村湾(西海国立公園九十九島水族館提供)

 長崎県佐世保市鹿子前町の九十九島水族館(海きらら)は、昨年から小型イルカ「スナメリ」の調査を大村湾で実施している。先月22日の調査では31頭の姿を確認した。
 同館によると、スナメリはネズミイルカ科で、市の絶滅危惧ⅠA類に選定。国内では、仙台湾~東京湾、伊勢湾~三河湾、瀬戸内海~玄界灘、有明海~橘湾、大村湾に生息する五つの個体群が確認されている。大村湾の個体群が最も数が少なく、狭い湾内で生活しているためか、他地域より体形が“ずんぐりむっくり”しているのが特徴だという。
 同館は保全と生態解明を目的に、2020年7月から予備調査を開始。同年11月からドローンを導入し、本格的な調査に乗り出した。調査区域の地図上に線を引き、それに沿って目視やドローンで姿を確認していく「ライントランセクト法」で、原則月に1回実施。これまでの調査で、他のイルカより小回りの利いた柔軟な泳ぎ方をすることや、季節により出現場所や行動が異なることなどが分かった。
 この日は、同館職員ら計7人で実施。今年3月の調査から確認されている多数の子どもが今回も確認された。川久保晶博館長は「スナメリも人々の営みの中に共存しており、環境のバランスが崩れるといなくなるので、この調査は大村湾健全性の指標にもなる。今後も地道に活動していきたい」と話した。


© 株式会社長崎新聞社