【野村弘樹の目】DeNA、交流戦過去最高タイの3位 流れ変えた今永の復帰

横浜DeNA・浜口=5日、横浜

 プロ野球の日本生命セ・パ交流戦で、ベイスターズは9勝6敗3分けと2007年に並ぶ過去最高の3位で終えた。評論家の野村弘樹氏に交流戦の戦いぶりと、ペナントレースが再開する18日の広島戦(東京ドーム)から東京五輪でシーズンが中断するまでの展望を聞いた。

◆安定感が全然違う

 ベイスターズは強くなった。大黒柱の今永がローテーションに戻ったことが何よりも大きい。

 開幕から浜口がずっと頑張ってきて、そこにもう一枚加わるだけで安定感が全然違う。5月23日のヤクルト戦(神宮)でノックアウトされた時はどうなるかと思ったが、登板を重ねるごとに彼らしさが出ている。今シーズン初勝利を挙げた13日の日本ハム戦(札幌ドーム)を含めて、ここ3試合連続で6イニング以上マウンドを守った。直球と変化球を交え、投球に強弱がつけられている。

 開幕投手の浜口はもともと馬力のある投手。勝ち負けは結果だし、序盤は早くつぶれることもあったが、ローテーション投手は毎週投げて、年間で150~180回を目指すもの。チーム状況が苦しい中、現状は彼一人しかいないんだから評価しないといけない。

 4、5月は勝てた試合を落とすなどチームに落ち着きがなかった。2人の先発がいることで足場をしっかり固められ、交流戦の流れを呼び込んだ。優勝はできなかったが、過去に勝ち越したチームはレギュラーシーズンに戻っても状態が良い印象がある。ここから勝ったり負けたりを繰り返すだろうけど、今永の復帰、交流戦勝ち越しという明るい材料をプラスにして戦っていってほしいし、面白くなりそうだ。

◆臨機応変に戦えるか

 理想論は先発がゲームをつくって、投手が3失点以内に抑え、打者が4点以上奪うこと。相手投手、打線、状況を見ながら臨機応変に戦えるかどうか。九回で試合が打ち切りのルールに加え、東京五輪で1カ月近く中断期間があることを踏まえ、どの球団もどうしても早めの継投に入りがちだが、やっぱり先発が頑張り、ここまで粘り強く投げている三嶋や、セットアッパーとして復活した山崎までいかにつなぐか。監督やコーチが交代のタイミングを見極めることが大事になる。

 いまだに借金は「14」と、返済できるかと問われると難しいが、浜口と今永の登板で取りこぼさないことが不可欠。再開後の最初のカードとなる広島、2カード目の巨人は交流戦で状態は良くなかった。この5試合でどれだけの戦いができるか。シーズンを大きく左右するかもしれない。

 のむら・ひろき 野球評論家、桜美林大野球部特別コーチ。大阪・PL学園高を経て、1988年から横浜大洋(現横浜DeNA)でプレー。93年に17勝で最多勝、98年には13勝で日本一に貢献した。2002年に引退。通算301試合で101勝88敗。広島県出身。51歳。

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