英経済紙「フィナンシャルタイムズ」が、東京五輪スポンサーのチケットキャンペーンによって新型コロナ禍にも関わらず有観客開催が強行されると指摘した。
同紙は「東京五輪の主催者はいまだに満員まで想定している。組織委員会が見込む収入のうち、900億円はチケット販売によるもので、大会の商業収入の約半分を占めるとされている。残りは公的資金となる」とチケット収入が大きなウエートを占めると分析する。
コロナ禍のため開催する場合は無観客試合を専門家は強く求めているが、そうなるとチケット収入は無くなってしまい、払い戻しにも多くの費用がかかる。
「医師や公衆衛生の専門家は新型コロナの蔓延を避けるために観客なしでオリンピックを開催するよう助言しているが、主催者やスポンサーは投資の見返りを得るために少なくとも一部のファンを維持することを切望している」と同紙。どんなに感染リスクがあろうとも、大会主催者は絶対に有観客開催を譲れないというわけだ。
なかでもカギを握るのがチケットの「スポンサー枠」だ。
マーケティング会社幹部の話として「スポンサーは、競技会やその他のマーケティングイベントで五輪のチケットを配った。スポンサーにとっての大きな問題は、消費者キャンペーンの当選者が参加できるかどうかだ。スポンサーのほとんどは、チケットキャンペーンからすでに多くの利益を得ている」と指摘。そして「これらのチケットがキャンセルされた場合、彼らは多くの反発に直面するだろう」。
すでにスポンサーは多くのチケットを〝ばらまいて〟おり、もし無観客開催となればチケットに当選した消費者などから多くのクレームが出ることが予想されるため、なんとしても有観客開催をプッシュしたいというわけだ。
最後まで〝スポンサーファースト〟が貫かれるのか。観客の有無の決断に注目が集まる。