〝代表漏れ〟セの打点王・岡本和に求められる「2つの上積み要素」

〝代表漏れ〟した巨人・岡本和

〝代表漏れ〟はやむなしだったのか。16日に正式発表された東京五輪の代表メンバーに、巨人から坂本勇人内野手(32)、菅野智之投手(31)、中川皓太投手(27)の3人が内定した。一方で24人の狭き門から漏れたのがセの打点王・岡本和真内野手(24)だった。昨季は本塁打、打点で打撃2冠に輝き、3年連続30発超えも果たした和製大砲に求められる2つの上積み要素とは――。

金メダル奪取へ、巨人から招へいされたのは国際大会の経験が豊富で、投打の軸となってきた坂本と菅野、プレミア12にも出場した中川の3選手だった。原辰徳監督(62)も「貢献してくれるとね。プレミアも経験しているし、落ち着いて戦えるんじゃないでしょうかね。できる限りのサポートは惜しまないつもり」と快く送り出した。

その一方で、24人の内定者から〝落選〟となったのが主砲・岡本和だった。この日時点もセの打撃部門の上位で争っており、19本塁打はリーグトップで代表入りしたヤクルト・村上(20本塁打)に次ぐ2位。打点はその村上(45打点=同2位)に13差をつける58打点でぶっちぎりの1位だ。

3年連続で30発以上をマークした岡本和を差し置く形で、村上が選ばれたのはなぜなのか。稲葉監督が会見で村上を選出した経緯からも岡本和の〝落選理由〟が浮き彫りとなった。

稲葉監督は村上について「守備は安定してきている」とした上で「パワーはもちろん、1試合の中での修正能力を含めて実力がついてきた」とした。岡本和の打撃の好不調については、原監督も指摘していた点で「多少波はありますよ。その波を最小限に抑えながら、高い位置をキープしていくというのが超一流になるわけでね」と語っていた。直近では、3日の西武戦(東京ドーム)の第2打席から9日のオリックス戦(京セラ)の2打席目まで22打席無安打と沈黙。そうかと思えば、その後は3打席連続を含む4戦4発の大爆発だ。ただ、短期決戦で〝ドツボ〟にハマれば命取りとなりかねず、村上に軍配が上がったと言える。

そして、稲葉監督が挙げた「(村上の)あの若さでチームを引っ張っている姿。投手に声をかけたり」とのポイントは巨人内でも時おり聞かれた声だった。

顕著となったのは、坂本が右手親指の骨折で離脱した約1か月の間。「投手が四球を出したりした時に、ちょっとした間を取りにマウンドに行く内野手が少ない。特に常に三塁にいる(岡本)和真なんかが率先して行ってくれるといいね」といった〝サポート指令〟も飛んでいた。

他の内野手が流動的に起用された中、岡本和はすでに不動の三塁手に定着。堅実な守備に加えて投手に安心感を与えるためにも、グラウンド全体をふかんする力を――というわけだ。

中心選手になるほど周囲の注文が増えるのも宿命。今後、代表メンバーにアクシデントなどが発生すれば岡本和が追加招集される可能性はある。五輪への緊急出撃、チームのV3のためにも〝落選ショック〟を糧にしたいところだ。

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