赤星に続け! 阪神・近本&中野に「V達成」「盗塁王」の“W取り”指令

盗塁王を競う近本(左)と中野

悲願達成で猛虎のスピードスターたちもさらに輝く――。18日からリーグ戦が再開。7ゲーム差をつける2位の巨人を本拠地で迎え撃つ首位の阪神で、今や欠かせない存在になっているのが1番・近本光司外野手(26)とルーキー・中野拓夢内野手(24)の俊足で鳴らす2人だ。現在、セの盗塁王を競い合う2人にとっても「V達成&盗塁王」のダブル勲章獲得は大きなモチベーションとなる。

59盗塁は12球団トップ。積極的な走塁がウリでもある矢野阪神でその象徴的な存在が昨年まで2年連続盗塁王の1番・近本と交流戦では近本と1、2番コンビを組むことが定着したルーキー・中野の2人だ。

17日現在、中野がリーグトップの13盗塁、近本が同2位の12盗塁と抜きつ抜かれつの「盗塁王」争いを展開中。2021年版猛虎の新たな脅威となっているが、2人にとっても優勝へまい進中の現在のチームは走りがいのある環境だという。

交流戦で阪神の戦いぶりを見たパの球界OBは「首位を走る今の阪神で取る盗塁王は〝理想〟ともいえるというか、仮に優勝となれば、単なる個人記録ではないチームの優勝に貢献した証にもなるから」とし、こう続ける。「去年パ・リーグでは周東(ソフトバンク)が50個走って盗塁王になったけど、優勝チームから盗塁王が出たのも久々だったからね」。

この指摘の通り、昨季は周東がパで「優勝&盗塁王」を実現させたが、これは11年のソフトバンク・本多以来。セでも過去10年で優勝チームから盗塁王に輝いた選手が出たのは17年の広島・田中広のみと、チームの順位に直結しにくいタイトルでもあるからだ。

「だからこそ、阪神の2人にとってはやりがいがあると思う。盗塁王や本塁打王って、悪く言えばチームが下位でも狙えるというか正直、自分のことだけ考えてプレーしても数は増やせるもの。それが優勝を争うなかでやっていれば、一つ走るにしても緊張感はおのずと違ってくるし、チームとしても価値のあるものになる。優勝してタイトルも取れたってなれば自分が貢献した何よりの証にもなるし、選手としての価値もより上がる」(前出OB)。

阪神では03、05年に赤星(現・評論家)が「優勝&盗塁王」のダブル勲章をゲットし、球史に残る走り屋として名を残した。偉大な先輩ランナーに続く快挙達成という意味でも〝走り〟でチームを勝ちに導くことが期待される2人には、16年ぶりの悲願達成のミッションはがぜん、やりがいのあるものとなりそうだ。

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