偉業達成目前なのに… 西武・平良に「ちょっと気の毒」の声があがる理由

日本代表にも選出

何とも皮肉な話だ。パ・リーグ記録の34試合連続無失点にあと1と迫っている西武の平良海馬投手(21)を巡り、チーム周辺から「ちょっと気の毒な気もする」との声が上がり始めている。救援投手として活躍すればするほど、本人が熱望する役回りから遠ざかる可能性が高いからだ。

平良は2019年オフから球団側に先発転向の打診をしているが、救援陣の駒不足というチーム事情もあって実現には至っていない。だが、先発への思い入れは今も強いようで、平良を知る球団OBの一人も「今季、誰もが納得する結果を残してオフに再び先発転向を訴える可能性は高い。その思いがあるからこそ、今は登板過多気味でも文句を言わず投げ続けているはず」と話す。

それでも現状の活躍ぶりを見る限り、本人の希望通りになる可能性は極めて低い。今季の西武は絶対的守護神だった増田が不調で二軍調整中。代役に期待された助っ人右腕ギャレットも防御率4・13と冴えない。今後2人の状態が上がり、来季以降も健在だとしても平良のいない救援陣は考えずらい。球団もチーム構成上、救援で安定感抜群の右腕をわざわざ先発に回すことは望まないだろう。

さらに平良にとって致命的な出来事になりそうなのが、先日発表された東京五輪野球日本代表に選出されたことだ。侍ジャパンでは救援陣の一角として期待されており、仮に世界の強豪相手に豪腕ぶりを見せつければ、抑えとしての地位は不動のものになる。必然的に周囲から平良の先発転向を後押しする声は皆無になり、今後本人から役割変更を言いづらくなるのは間違いない。

リーグ戦が再開された18日のロッテ戦(メットライフ)では登板機会のなかった平良だが、抑えとしての評価は抜群だけに…。先発転向は本当に〝夢〟で終わってしまうのかもしれない。

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