アルツハイマーの新薬認可されたけれど未承認の薬を使うと治療費が超高額に、役立つ保険がある?

米国の制約会社とエーザイの共同開発したアルツハイマーの新薬が、アメリカのFDA(食品医薬品局)で認可されました。

アルツハイマーの進行を抑える画期的な薬品として注目を集めています。この薬は4週間に1回の投与が必要で、平均的に患者に用いた場合には、5万6,000ドル(約613万円)の費用がかかるそうです。まだ、条件付の認可ですので、これからの推移が注目されます。かなり先の話になると思いますが、日本でも認可されるようになれば、アルツハイマーで苦しむ人々とその家族の希望となるでしょう。

さて、がん治療も、日進月歩で新しい治療法が開発されています。がんの5年生存率がどんどん延び「がん=死」ではなく、長く付き合っていく病気になっています。とは言っても、日本人の死亡原因の第1位は、やはり「がん」です。

がんと宣告されれば、誰もがいい治療法がないかと考えるのが当然です。がんの治療法として、先進医療を耳にすることが多いと思いますが、最近注目を集めている未承認の抗がん剤、ホルモン剤などは、先進医療ではカバーできないものもあります。自由診療の扱いです。

自由診療になるとかなり高額な費用がかかるため、治療をあきらめることもあります。しかし、自由診療に対応した保険を利用すると、あきらめないで治療を受けることができるかも知れません。今回は、自由診療に対応している保険について解説をします。


国民全員が入っている公的医療保険制度とは

まずは国民全員が原則入っている公的医療保険制度について考えてみます。

公的医療保険制度では、保険証を提示することで一般的に3割の自己負担で保険診療を受けることができます。さらに高額療養費制度を使うことで、年収に応じて自己負担額の上限が下がります。

ほとんどの診療はこの健康保険内での診療で行われています。

自由診療を選ぶと保険診療も全額負担になる

一方、自由診療というのは、公的医療保険の対象外の治療です。たとえば、日本ではまだ未承認だが、海外では承認されている最先端の薬を使う治療法などです。たとえば、がんの治療薬でいうと、乳がんの「アルペリシブ」や急性骨髄症白血病の「エナシデニブメシル酸塩」などは、日本では未承認ですが、アメリカでは承認されています。(民間療法などの、科学的根拠がない治療法もありますが、ここでは除外します)

日本では、保険診療と自由診療の混合診療は認められていません。ですので、一部でもこの自由診療を使うと保険診療が使えなくなり、3割負担だったものが全額自己負担になります。結果、治療費はかなり高額な負担になります。場合によっては、治療費と自由診療と両方で月額100万円ぐらいかかることもあるかも知れません。一般的には負担が大きすぎるため自由診療を選択するのはごく一部の人になります。

がんゲノム医療、がん遺伝子パネル検査とは何か?

「がんゲノム医療」「がん遺伝子パネル検査」を聞いたことがありますか?「がんゲノム医療」は、患者個人の遺伝子をもとに、最適ながんの治療薬を選択することができる検査です。「がん遺伝子パネル検査」は、がんの組織の遺伝子を解析します。どちらも副作用が少なく、効果が期待できる薬を見つけるためのものです。

この治療法は、それぞれ公的医療保険や先進医療でも一部指定されていますが、標準治療(「手術」「化学療法」「放射線治療」など)を終了した人、またはできない人などの条件があります。ですので、誰でも受けることができるわけではありません。もし治療を希望するならば、自費つまり自由診療になってしまうこともあるのです。

これらの方法を使って効果が期待できる薬を見つけることができたとしても、その薬が保険診療に適用している薬ならばいいのですが、認可されていない薬だった場合には自由診療になってきます。

混合診療が認められている療法とは

このように一部でも自由診療が入ると保険診療から外されてしまい全額自己負担になってしまいます。ただし、保険診療と自由診療の併用が認められている療法もあります。それが、「評価療法」「患者申出療法」「選定療法」です。

「評価療法」「患者申出療法」は、保険導入のために評価を行います。「選定療法」は保険導入を前提としないものです。「評価療法」の代表的なものには、先進医療があります。

先進医療とは、公的医療保険の対象にするかどうかを評価する段階の治療なのです。ですので、保険診療と先進医療を併用しても、保険診療は自己負担は3割で、先進医療の部分は自己負担分になります。

「選定療法」とは、差額ベッドや歯科の金合金等の治療で、保険診療と自費との治療が認めれているものです。

先進医療特約の保険料が安い理由は

医療保険やがん保険に、先進医療特約があるので、知っている人もいると思います。先進医療の中で、とくに高額な費用がかかる治療で重粒子線治療、陽子線治療があります。どちらも200万円ぐらいの治療費がかかるのですが、年間実施件数は2,000件超でかなり少ないです。年間100万人ががんに罹患しているので、重粒子線や陽子線の治療を受けられる人は、0.2%ぐらいになります。誰でも受けられるわけではありません。

ちなみに先進医療特約の保険料は月額100円前後で、2,000万円ぐらいの保障が受けられます。なぜこんなにも保険料が安いのかというと、それだけ利用する人が少ないからです。

自由診療の対応している保険とは

がんを宣告されて、ご自分で治療法をいろいろ探したとしましょう。自分の症状に効果かありそうな薬を見つけても、残念ながら未承認の薬で、自由診療の高額な自己負担額を考えると結局のところ、その治療を断念せざるを得ないとしたら残念です。

そんなときに役に立つのが、自由診療に対応した保険です。最近は、この自由診療に対応する保険が増えてきました。

まず、自由診療に完全に対応しているがん保険は2つあります。

SBI損保の「がん保険自由診療タイプ」とセコム損保の「がん保険メディコム」です。

この2つの保険の特徴は、かかった医療費が全額補償されるのです。がん治療のための損害保険と思ってもいいでしょう。治療にかかったお金は、無制限で補償がありますので、がんの治療費の自己負担はゼロ円になります。通院については1,000万円までの補償があります。

その他にも、がんの自由診療に対応している保険が増えてきました。チューリッヒ生命「終身ガン治療保険プレミアムZ」、メディケア生命「メディフィットがん保険」FWD富士生命「FWDがんベスト・ゴールド」などが、自由診療の抗がん剤(ホルモン剤治療も適用される保険もある)を選択した場合、給付金を受け取ることができます。

患者申出療法とは何か

「患者申出療法」とは、未承認の薬などをいち早く使いたい場合、患者の方から医師や関連病院を通じて国に申請を出して、認められれば、保険診療との併用ができる制度です。これに対応している医療保険の特約があります。

治療費の自己負担額はそれほど多くなりませんが、未承認の薬を使うとなると高額な費用がかかることがあります。その薬や治療法によって効果がでる可能性があるなら、あきらめたくはないですね。それに備えるのが保険の役割です。気になる人は一度検討してみるといいかもしれません。

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