9年ぶり7戦勝ちなし、月間打率はわずか.200… 貧打に喘ぐ鷹打線に起爆剤はあるか?

ソフトバンク・工藤公康監督【写真:藤浦一都】

20日の日本ハム戦ではわずか2安打に終わって2試合連続引き分けに…

■ソフトバンク 1ー1 日本ハム(20日・PayPayドーム)

ソフトバンクは20日、本拠地PayPayドームで行われた日本ハム戦に1-1で引き分けた。低調が続く打線がわずか2安打と沈黙。1失点と粘った投手陣を援護できずに2試合連続の引き分けに終わった。これで2012年以来、9年ぶりの7試合連続勝ちなしとなった。

とにかく打てない。9回までたった2安打。四球を含めても出した走者は3人だけ。日本ハム先発の加藤が好投したとはいえ、あまりに寂しい内容だった。奪った得点も5回に主砲・柳田が放った15号ソロの1点だけ。初回に1点を失った先発の和田がその後は何とか踏ん張り、リリーフ陣も必死のリレーで最小失点で凌いだ。負けなかったのが不思議なほどの試合だった。

この日の相手先発・加藤は左腕。今季ここまでの対戦被打率は右打者の.254に対して、左打者の.258だったが、前日からスタメンを入れ替え、打線には右打者を厚めに並べた。プロ初安打初本塁打を放った谷川原を外し、川島を起用。松田と今宮もスタメンに戻した。

月間のチーム打率は.200、主力は軒並み1割台か2割台に落ち込む

だが、結果には繋がらず2安打だけ。試合後、工藤公康監督は「僕も調子の悪い打者に投げると、どうしてもバットが出てこないとか、振りにいったらボール球だったとか、待ったら甘かったとか、そういうのは経験している」と語り、苦戦の続く打線を案じた。

この日の試合前に報道陣に応じた小久保裕紀ヘッドコーチは「線全体が状態が落ちている。あまりこういうことはない。猛打賞の選手がどれだけ出ていないかと考えたら、こういうことは珍しい」と語っている。それほどまでに、野手全体の状態がどん底にある。

6月5日の阪神戦で11安打を放って以降、10試合連続で1桁安打。ここ5試合は7安打、4安打、3安打、6安打、2安打と5安打以下の試合が3試合もある。6月の月間チーム打率はこの日で.200まで下降。1割台寸前のところにある。個々の月間打率を見ても、中村晃、今宮、松田が1割台に落ち込み、この日本塁打を打った柳田も.211、前日同点弾の栗原も.214と、主力が軒並み不振に陥っている。辛うじて6月の月間打率が3割を超えているのが三森だが、ここ3試合は1安打止まりとなっている。

結果を残した若手選手が投手の左右で翌日スタメン落ち…

この苦境をどう脱していくか。工藤監督は試合後に「何とか自分自身で打破していかないといけないところ。勇気を持って振りに行かないといけない」と奮起を促していたが、こんな時だからこそ、勢いのある選手に乗るのも一手ではないか。

6月8日、9日の広島戦で2試合続けて安打を放っていた柳町が翌10日の同戦でスタメン落ちし、チームは引き分け。同戦で4安打を放っていた三森が翌11日のヤクルト戦でスタメンから外れ、完封負け。猛打賞はこの三森以降、出ていない。そして、この日も前日の試合で本塁打を放っていた谷川原がベンチスタート。終盤に代走で出場したものの、引き分けに終わった。そのいずれもが左投手のとき。左右の組み合わせ、相性を考えた選択だが、チームに活気をもたらせそうな若い力がスタメンから外れるのは、起爆剤の欲しいチーム状況にあって、いささか勿体ない。

元来、投手の左右を重視する傾向のあるソフトバンクだが、その中でも“調子が良い人”を見極め、積極的に起用することで、それがハマることもこれまで多かった。故障者や離脱者も多く、なかなか苦境から脱せない時だからこそ、ドラスティックな、思い切った策も見てみたいところだ。

「負けたわけではない。次に向かっていかないといけない。僕らは僕らで考えてやっていきたいというふうに思う。選手も選手で切り替えてまた次の日、強い気持ち持ってやっていきましょう。それしかないです」とも語っていた工藤監督。22日からは敵地でロッテ、楽天との6連戦となる。4位ロッテとは1ゲーム差、首位タイの楽天とは1.5ゲーム差。浮くか沈むか。正念場の6試合となりそうだ。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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