かつてはアルファードよりも売れていたヴェルファイアが販売ガタ落ち! そもそもなぜヴェルファイアが誕生したのか? その理由はトヨタの販売戦略にあった

好調なセールスを記録しているトヨタ アルファードだが、じつはその兄弟車にあたるヴェルファイアの販売状況はガタ落ち傾向にある。かつてはアルファードよりも売れていた時期もあったほど人気を博していたヴェルファイアだが、今となっては特別仕様車のみの販売となっているほど。そこで気になるのが、なぜヴァルファイアが生まれたのか? そしてなぜ今ひとつのグレードのみの販売となっているのか? である。一体どんな理由が隠されているのか!?

トヨタ 新型ヴェルファイア ZG[V6 3.5リッター/FF]

ヴェルファイア誕生のキッカケはトヨタの販売戦略から! しかし2020年のディーラー改革で状況激変

アルファードの兄弟車として2008年にデビューした初代ヴェルファイア。押し出しの強いフロントデザインからアルファードよりも販売台数が多い月もあったほど人気であった

トヨタ 初代ヴェルファイアが誕生したのは2008年のこと。2代目アルファードの登場と同時に発売されたモデルで、ご存知の通りこの2台は兄弟車にあたる。

違いは外装デザインであり、内装やグレード構成にいたるまでほとんど同じなのである。具体的にはアルファードは高級志向なのに対し、ヴェルファイアはやんちゃなイメージで、同じくトヨタのヴォクシーとノアの関係と同じである。

フロントグリルで差別化! 初代アルファードはヴェルファイアの役割を担っていた!?

初代アルファードは1台で2役を担っていた。フロントグリルで差別化し、販売チャネルごとに販売をしていたのだ

そもそもヴェルファイアが登場した大きな理由としては当時のトヨタの販売戦略にある。2020年5月よりトヨタは全店で全車種を取り扱うようになったのだが、それまでは5つの販売チャネルに分かれていた。

ヴェルファイアはヴォクシーなどを取り扱うネッツ店。対してアルファードはマークXやハリアーなど高級車を販売するトヨペット店というように、取り扱う店舗が異なっていたのだ。簡単に言えばトヨペット店はクラウンを取り扱っているように高級志向のクルマを、そしてネッツ店は若年層をターゲットにしたモデルを販売するといった性格分がなされていたワケだ。

じつはヴェルファイアが登場するまでアルファードは2つに分かれており、トヨペット店ではアルファードGを、ネッツ店ではアルファードVを販売。両者の違いはフロントグリルで区別されていたのだが、イメージ的にはさらなる差別化を図るべく初代ヴェルファイアが生まれたというのが誕生の経緯である。

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ヴェルファイアは現在特別仕様車のみ。もしや新型アルファードに一本化される!?

現在ヴェルファイアはゴールデンアイズと名付けられた特別仕様車のみの販売となっている理由は、2020年5月から始まったトヨタのディーラー改革によって、これまで兄弟車とされていたモデルたちを清算しようとする動きがあるためである。

そういった観点から考えると新型ヴェルファイアの登場はなく、アルファードに一本化しようとしてるのではないだろうか? 未だ新型アルファードに関する正式なアナウンスはないものの、ヴェルファイアが廃止されるというのは可能性としては捨てきれないのだった。

ただ2022年初頭に登場する予定の新型ノア/ヴォクシーは引き続き兄弟車として発売されることがすでに決定している。そう考えれば、同様にアルファードとヴェルファイアが同時にフルモデルチェンジとなる可能性もゼロではないのだった。

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2020年5月スタートのディーラー改革でアルファード人気が右肩上がりに

全店で全車種を取り扱うようになったため、アルファード/ヴェルファイアのような兄弟車と呼ばれるモデルたちの行く末に注目が集まっている。トールワゴンのタンクがルーミーに一本されているためヴェルファイアの動向に注目が集まっているというワケ

都内近郊のネッツ店スタッフに聞くと「これまでアルファードを希望する方には取り扱っているヴェルファイアをお勧めしていた。ところが2020年5月より全車種を販売可能となったために、積極的にアルファードの商談を進められるようになった」と語る。

これまでは販売チャネル戦略をとっていたために、ヴェルファイアとアルファードは販売台数で拮抗できていたが、全車種を販売できるようになったためにアルファード一強時代となったというワケだ。

新型アルファード/ヴェルファイアの動向に注目! アルファード一本化の可能性もアリ

今後の展開は明らかにされていないが、新型アルファードとヴェルファイアの行く末はさまざまな憶測が飛び交っている状況である。しかもヴェルファイアのグレード縮小など、廃止と予想したくなってしまうのもまた事実であるため、今後一体どんな動きを見せるのか!? 今後も目が離せない2台である。

【筆者:MOTA編集部 木村 剛大】

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