美人妻と会えず「難しい状況」でも打棒爆発 DeNA“超マジメ男”の意外な本音とは

DeNAのタイラー・オースティン【写真:荒川祐史】

コロナ禍で単身赴任中「妻は心の支え。早く日本に来られることを祈っている」

■DeNA 10ー8 広島(20日・東京ドーム)

来日2年目を迎えたDeNAのタイラー・オースティン外野手の打棒が凄まじい。20日に東京ドームで行われた広島戦の3回には、バックスクリーン右へ先制15号満塁弾を放った。3打数2安打4打点1死球で、今季打率.335。22日の巨人戦(金沢)に出場すれば規定打席に到達し、リーグ打率上位に躍り出る可能性がある。

今季はコロナ禍で来日が遅れ、開幕に間に合わなかったオースティンだが、20日現在で規定打席にわずか1打席不足。22日に4打席立てば規定に達する。本人はオンライン会見で「シーズンはまだ折り返してもいない。正直言って、(首位打者争いは)考えたこともなかったよ」と苦笑した。

三浦大輔監督は「相手投手の失投を見逃さず、確実にとらえている。厳しくマークされているが、強引にならずボール球をしっかり見逃しているし、低めの変化球の誘いにも乗らずバットが止まる。昨年1年間の経験が生きているのではないか」と評する。

打撃だけの選手ではない…守備も走塁もヤンキース流の全力プレー

15本塁打、37打点もリーグランキングを駆け上がっているが、打撃だけではない。三浦監督は「守備でも、塁に出ても、常に全力でプレーしてチームを引っ張ってくれている」と感謝感激。来日1年の昨季、守備中にフェンスに激突し首を痛めて戦線離脱に追い込まれたほどだが、今季もハッスルプレーに陰りはない。守ってはダイビングキャッチやフェンスを恐れないプレーを連発し、攻めては左前の打球で一気に二塁を陥れるなど、常に次の塁を狙う姿勢を示している。

2010年のMLBドラフトでヤンキースから13巡目指名を受けてプロ入り。現楽天の田中将大投手ともチームメートとして過ごした、誇り高きヤンキース仕込みで、立ち居振る舞いの随所で「さすが」と思わせる。

昨季日本で同居していた妻のステファニー・ダナさんが、今季はコロナ禍で来日できず。「妻は心の支え。長い間彼女に会えず難しい状況で、なるべく早く日本に来られることを祈っている」と言うが、単身赴任がプレーに悪影響を及ぼすようなところは見られない。

チームメートにとって模範的な存在だが、オースティンは「守備でも全力で投手を助けようと心がけているが、落球してしまった記憶が気にかかっている」と明かす。6月4日のロッテ戦で、本拠地・横浜スタジアムに吹き付けていた強風にあおられ、レアードの右飛を落球。現時点で今季唯一のエラーとして記録されているのだが、今それをあえて口にするところに、生真面目な性格が表れている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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