じん肺死認定 遺族補償不支給取り消し 因果関係認める 長崎地裁判決

判決を受け「勝訴」を伝える原告の女性=長崎市万才町、長崎地裁前

 長崎県内の炭鉱や造船所で働き、じん肺と労災認定され「間質性肺炎」で死亡した元作業員の遺族4人が国に遺族補償給付金と葬祭料の不支給決定を取り消すよう求めた訴訟で、長崎地裁(天川博義裁判長)は21日、原告の訴えを全面的に認め、不支給処分を取り消す判決を言い渡した。
 判決によると、元作業員4人は採炭工などとして25年以上働き、2000~13年にじん肺と労災認定された。いずれも14年死亡。当時51~77歳だった。
 元作業員の妻が14年、長崎労働基準監督署に支給を求めたが、労基署は「死因とじん肺の因果関係が認められない」などとして不支給を決定。4遺族は審査請求したが棄却され、16年5月に提訴した。
 間質性肺炎は、「間質」と呼ばれる肺胞隔壁が炎症を起こしたり線維化したりする病気で、薬剤や粉じんの吸入などが原因となる。国側は、国側医師の意見書に基づき「原因が特定できない特発性非特異性間質性肺炎を併発した可能性が高い」と主張し、じん肺との因果関係を否定していた。
 同地裁は、エックス線写真などを見た原告と国側双方の医師の所見を踏まえ、死因となった間質性肺炎がじん肺や粉じんにさらされたことに起因するものと認定。死因と業務との因果関係を認めた。
 原告の女性(78)=長崎市=は「長かった。弁護士の先生や支援してくれた皆さんのおかげでやっと認めてもらうことができた。主人も天国で喜んでくれるでしょう」とかみしめるように語った。
 長崎労働局は「判決内容を検討し、関係機関と協議した上で判断したい」とした。

 


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