矛盾しかない――。今夏の東京五輪に向けて組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)、日本政府、東京都、国際パラリンピック委員会(IPC)が観客数上限を会場定員の50%以内で最大1万人に制限すると決定したことに、疑問があると英紙「ABC」が報じている。
同紙は、新型コロナウイルスの影響で五輪開催に反対する声があると紹介し、各自治体のパブリックビューイングが中止になったこと、さらにワクチン接種が日本国民の6・5パーセントに留まっていることを指摘。さらに医療専門家が対応策として無観客を提言したにもかかわらず、有観客になったことの懸念を伝えている。
その上で「今回の決定は多くの疑問を投げかけている」という。最大1万人の観客が許可された一方で大会スポンサー(スポンサーチケットを保持者含む)や各スポーツ団体の役員、海外からのVIPなど「いわゆる利害関係者はその合計にカウントされていない」とし、人数制限を設定したことがまったくの無意味であると強調した。
さらに7月23日の開会式について「アスリート数を超えて最大2万人が参加できると報じられている」と報道。主催者サイドや日本政府が「安心・安全」を主張しながらも、いくつもの例外があることに、コロナ対策として大きな矛盾があることを指摘。新たなパンデミックを生み出しかねないと伝えている。
同紙は「最近の世論調査では、開催に対する支持が高まっているが、質問の言い回しに応じて、大多数はオリンピックの延期またはキャンセルを支持している」とし、主催者サイドの不十分な施策が大きな落とし穴になりそうだ。