米大リーグ機構(MLB)は21日(日本時間22日)の試合から、投手の不正使用が疑われる粘着物質の取り締まりを強化し、罰則の適用を厳格化させた。審判員は先発投手に対し、登板中にボールに異物が付着していないか複数回チェックする。救援投手はイニング終了時か降板時に確認。違反者は退場処分と、10試合の出場停止処分を科される。
メジャーでは松やになどロージン以外の使用は違反だが、これまで日焼け止め等の使用は滑る公式球対策における暗黙のルールとなっていた。今季は一部投手が球の回転数を上げるため粘着物質を不正使用している疑惑が取り沙汰されていた。
そんなか、米ヤフースポーツは21日、粘着物質の中で特に問題視されている「スパイダータック」の共同開発者の一人、デフィンボー氏のインタビュー記事を掲載した。ヤンキースのコール投手がこの製品の使用を否定しなかったことで、米アマゾンなどで売れ行きが急上昇。「1年前の100倍くらい」売り上げが一気に伸びているという。現在は品切れ状態だ。
パドレスのダルビッシュ有投手(34)は17日(同18日)に自身のツイッターに「もちろんスパイダータックとかはダメだと思いますが」と投稿している。21日のドジャース戦に先発すると初回と4回終了時に球審から手の指、帽子、グラブのチェックを受けるも、問題なくクリアした。
前述のデフィンボー氏はそもそも、ストロングマンコンテストの選手で、スパイダータックは、巨大な石を持ち上げるために自身が開発した粘着性の強い製品で、現在も自宅ガレージで製造している。
同サイトよると、そのスパイダータックは昨年から「(配送先が)大リーグ球場への注文を多く受けるようになり、(宛名を)何人かググってみたら、プロの先発投手だった」ことが判明。これはビジネスになると思ったというデフィンボー氏がアクションを起こすまでもなく、スパイダータックはマイナーリーグのチームや大学からも注文が殺到するなど、野球界から大きな注目を集める存在となった。
粘着物の不正使用は許されないが、多くの投手が主張しているようにMLBは滑りやすいボールの改善を最優先すべきだ。