【NBA】プレーオフ注目選手はホークスのトレイ・ヤング 大ブーイングの中で得点力上がるタフさ

ヤング(右)は細身の体で奮闘している(ロイター=USA TODAY Sports)

【KJ松井のCatch&Shoot(71)】米プロバスケットボールNBAのプレーオフは東西両地区の決勝シリーズが行われ、勝ったチーム同士が年間王者を決める「ファイナル」を戦う。東西ともにレギュラーシーズンで勝率1位だった第1シードが敗退する中、本紙バスケット評論のBリーグ・京都ハンナリーズ松井啓十郎(35)は地区決勝シリーズに進出したアトランタ・ホークスのトレイ・ヤング(22)を注目選手に挙げた。

プレーオフの東地区準決勝は、いずれも7戦目までもつれる大接戦になりました。第1シードのフィラデルフィア・セブンティシクサーズを破って地区決勝に進んだホークスを引っ張るのが、ヤングです。NBAに登録されている身長は6フィート1インチ(約185センチ)となっていますが、実際には180センチちょっとではないかと思います。細身で日本人と変わらないぐらいの体格ですが、抜群のセンスとシュート力を持ち合わせています。

さらに強いメンタルを発揮したのがニューヨーク・ニックスとのプレーオフ1回戦でした。ニックスのホームコートでもあるマジソンスクエア・ガーデンのお客さんは、相手チームや選手に対して激しく厳しいヤジやブーイングを浴びせるのが“伝統”ともなっています。このことで選手が怒ったり、萎縮してパフォーマンスが落ちるのを楽しんでいる側面もありますが、ヤングは逆でした。

ニックス戦は全5試合のうち3試合をニューヨークで行いましたが、そのすべてで30得点以上をマーク。アトランタでのホーム2試合が21、27得点だったのを上回っています。大ブーイングの中で打つフリースローは、最初の2試合で成功率100%。3試合トータルでも28本打って2本しか外していません。勝負を決めた第5戦の残り43秒で長いスリーポイントシュートを決めると、ニックスのファンに向かって深々とお辞儀をしました。

若くしてここまで相手を挑発するようなことをして、文句なしのパフォーマンスをする精神力の強さは相当なものですね。地区決勝の相手は、NBAを代表する選手でもあるヤニス・アデトクンボ(26)を擁するミルウォーキー・バックス。ここでどんなプレーを見せてくれるのか、楽しみです。

☆まつい・けいじゅうろう 1985年10月16日生まれ。東京都出身。バルセロナ五輪の「ドリームチーム」を見た父親の勧めで小学1年からバスケットを始め、イベントでマイケル・ジョーダンと1対1で対戦したことがある。高校から米国に渡り、コロンビア大学では日本人男子で初めてNCAA1部でプレー。卒業後は帰国し、昨季から京都に加入。来季からは富山グラウジーズへ移籍する。ニックネームの「KJ」は、米国で「けいじゅうろう」を覚えてもらいにくいために使い始めた。188センチ、83キロ。

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