カツオ一本釣り国際認証 南郷漁協

MSC認証を取得した南郷漁協の近海カツオ一本釣り船団=日南市南郷町の目井津港

 持続可能な漁業の世界的基準を満たしているとして、日南市・南郷漁協(江藤久義組合長)の所属船12隻が行っている近海カツオ一本釣り漁業が、海洋管理協議会(MSC、本部・英国)の漁業認証を県内で初取得した。同認証は海外の消費者の認知度が高く、「魚の付加価値向上につながる」と関係者は期待する。共同申請していた高知市・高知かつお漁協も同時取得となった。
 MSC認証は資源の持続可能性や、生態系への影響に配慮していることを証明するもので、独立した第三者機関が審査。認証されれば水産物に「海のエコラベル」を貼り消費者にPRできる。欧米では大手飲食チェーンや小売店が優先的に使用・販売する例もあり、輸出に向けても追い風となる。
 南郷漁協は2019年11月、高知かつお漁協とともに近海かつお一本釣り漁業国際認証取得準備協議会を設立。審査では、人の手で一匹一匹釣り上げるため混獲が少なく、生態系への影響が少ないことなどが評価された。夏場に同じ漁法で狙うビンナガマグロ漁も認証の対象となる。国内での同認証取得は本件を含め12件となった。
 南郷漁協の20年の漁獲量はカツオとビンナガマグロを合わせ約1万3千トン。日南市地域の「かつお一本釣り漁業」は農林水産省の「日本農業遺産」にも認定されている。
 南郷かつお船船主組合の日高義康組合長(67)は「持続可能な漁業と認められた。販路拡大につながれば」、南郷漁協の江藤組合長(72)は「すぐに魚の値段に反映されるわけではないが、認証で魚の価値が上がることに期待したい」と話している。

© 株式会社宮崎日日新聞社