「それが今年だと思う」 西武平良、“モデルチェンジ”で手にした連続無失点記録

西武・平良海馬【写真:荒川祐史】

辻監督も感心しきり「味方がミスをしても抑えるところが彼の強さ」

■西武 2ー0 楽天(22日・メットライフ)

東京五輪での守護神の座も見えたか──。西武の平良海馬投手は22日、本拠地メットライフドームで行われた楽天戦で今季8セーブ目をマーク。そして35試合連続無失点のパ・リーグ新記録を樹立した。2006年に阪神・藤川球児が作った「38試合」の日本記録も射程圏内となっている。

「点を取られそうだなと思いながら投げていましたが、抑えられてよかったです」。平良自身がお立ち台で振り返ったように、冷や汗の展開ではあった。

簡単に2死を取ったものの、初対戦の新外国人カスティーヨの当たりは、ボテボテの三塁前へのゴロ。送球を焦ったスパンジェンバーグがファンブルし(記録はエラー)、出塁を許した。続く茂木にも、詰まらせながら中前に運ばれ、一転して2死一、三塁の大ピンチ。それでも最後は岡島を一ゴロに仕留め、しのぎ切った。

辻発彦監督は「ああやって、味方がミスをしても抑えてくれるところが、彼の心の強さ。そこが一番いいところだと思う」と感心しきりだ。

この日は、先発の松本が8回3安打無失点の快投のあとを引き継いでいた。さらに、チームは試合前の時点で、今季楽天には0勝6敗2分。“初勝利”に向け平良の右肩には記録以外のプレッシャーものしかかっていたが、平常心を乱す様子は一切感じさせなかった。

侍ジャパンでの起用法は? DeNA山崎、広島ルーキー栗林ら守護神候補

昨季は最速160キロの速球を軸に相手を圧倒し、新人王に輝いたが、今季は大幅にモデルチェンジ。この日も15球中、ストレートはわずか4球で、最速153キロ。スライダー、カットボール、チェンジアップを駆使した。

最後の打者の岡島に対しては、スライダー、チェンジアップ、カットボールでカウント1-2と追い込み、最後も内角低めのスライダーで打ち取り、真っ直ぐは1球もなかった。平良は「それが今年だと思うので、これを続けて頑張ります」とうなずいた。

東京五輪に出場する侍ジャパンのメンバーに選出された。実は、国内の試合と違い、日本人投手が国際試合で、ストレート攻めで代表レベルの外国人打者を抑えきるのは極めて難しい。2大会連続優勝を達成した第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では準決勝以降、阪神・藤川に代わり、先発要員のダルビッシュ(現パドレス)がクローザーに回ったのもその一例だ。

そういう意味で、平良が今季から投球の幅を広げていることは、侍ジャパンにとって願ってもない傾向と言えそうだ。

侍ジャパンには広島のルーキー守護神・栗林、DeNAではセットアッパーに配転されているものの、国際試合を含めクローザー経験豊富な山崎らも選出されている。とはいえ、今季の成績と内容なら平良が抜群。稲葉篤紀監督がここ1番の締めに送り出すのは、果たして誰だろうか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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