夫婦別姓、再び最高裁認めず 長崎県内でも賛否 法改正求める声多く

 最高裁が2015年に続き、夫婦別姓を認めない民法規定を「合憲」と判断した23日、長崎県内では「時代に合っていない」と疑問視し法改正などを求める声が相次ぎ、司法と市井の温度差をうかがわせた。ただ、男性は「どちらでも良い」という回答も目立った。
 「望む人に選択肢を広げるだけ。みんなが別姓にしなければならないわけではないのに…」。妻の姓を名乗る長崎市昭和2丁目、無職、橋本孝仁さん(70)は最高裁の判断に首をかしげた。最高裁が立法における議論を促したことに、大学院で男女共同参画を研究する諸國麻椰さん(26)=佐世保市=は「以前よりも夫婦別姓に関して注目が集まっている。政府も法律を変えるなど動くべき」と主張した。
 一方、長崎市立山2丁目、無職、土肥重雄さん(73)は「一緒の姓が良い。夫婦の生活でそう決まっているものだから」と最高裁判断に納得した様子。ほかにも記者が同市内の街頭で尋ねると、男女6人が疑問視し、男性4人は「どちらでも良い」と答えた。
 女性の人権を守る活動をしている市民団体「もうセクハラを許さない女たちの会・ながさき」代表の門更月(かどさつき)さん(67)は「女性の96%が夫の姓を名乗っている現状をどう考えるのか。ぜひ国会で議論を。選挙の争点にもしてほしい」と訴えた。

◎同一姓に道義性と判断/長崎大の池谷和子准教授(憲法)の話

 今回の合憲判断は、現状で家族が社会の自然な単位と捉えられている以上、姓を同一にすることに道義性があるということだろう。結婚で姓が変わることに喜びを感じるという人は多い。同姓か別姓かを選択することのできない子どもも、両親が同姓の方が利益を享受しやすい。ただ、アイデンティティーが傷ついたり、結婚前後で別人と思われて不利益を被ったりする人がいる。裁判所に判断を求めるのは難しく、より多くの人が納得できるような制度にしていくには国会での議論が必要だ。

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