倉敷美観地区についてどのようなイメージを持っていますか?
岡山を代表する観光地?
それともマスキングテープの聖地でしょうか。
古民家カフェが多くある場所でもありますね。
最寄りの倉敷駅から徒歩約15分とアクセスもいいことも、訪れる理由のひとつとなっているかもしれません。
そんな倉敷美観地区では近年、次々と新しい店がオープンし、ますますにぎやかになっています。
日本だけでなく外国からも観光客が訪れる倉敷美観地区で、地元のひとにも愛される「町家喫茶 三宅商店」を訪れました。
昔の暮らしが感じられるカフェ
古いもので江戸時代からの建物が残る美観地区では、古民家をリノベーションしたお店があちらこちらにあります。
お店によって外観は古民家の装いで、中に入ると現代的な内装のところも。
古民家カフェのひとつ「町家喫茶 三宅商店(以下:三宅商店)」は、必要最低限の改修をしているため、外観も内観も歴史が感じられます。
三宅商店の外観からは想像できませんが、中に入ると縦長で広いお店だとわかるのです。
お店の先には中庭があり、さらに奥には蔵があるとのこと。
壁は土壁で、よく見ると…あれ?倉敷駅の時刻表?
「昭和36年10月1日改正」の文字があることから、2021年現在で60年ほど経っているのでしょうか。
昔の暮らしが垣間見えます。
席は入口近くに、木の形そのものを活かした大きなテーブル席が。
大きな木のテーブルから一段上がっているところは、靴を脱いであがります。
人気のカレーを実食!
三宅商店の食事メニューはシンプルに、「三宅カレー」のみ。
三宅カレー単品で食べることもでき、単品にはスープと浅漬けが付いています。
セットにすると、さらに本日のプチデザートとドリンク(コーヒーor紅茶orオレンジジュース)が付いて豪華に。
せっかくなので平日限定の三宅カレーセット(三宅カレー+ドリンク+プチデザート)を注文しました。
カレーはスパイスも入っていますが、甘い!
幅広い年代で楽しめる味かと思います。
旬の野菜もごろごろ入っており、揚げたレンコンなど食感も合わせて楽しめました。
ごはんは玄米で、食べて身体の中からきれいになっている気がします。
食後のプチデザートが運ばれてきました。
「プチ」ではなくてワンプレートほどのボリュームがある気がするのですが…。
アイスは2種類で下に抹茶、上はバニラベースにナッツが入っていました。
シフォンケーキには甘さ控えめの生クリームが添えられ、そのうえには三宅商店のジャムが載って見た目も華やか。
スイーツメニューも外せない
カレーもおすすめですが、スイーツメニューも外せません。
悩みに悩んで季節限定の新茶パフェを選びました。
パフェを食べた5月は、そういえば新茶の季節ですね。
トップには三宅商店の工房で加工しているオレンジが添えられ、隣には新茶のクッキーがあります。
クコの実が載った生クリームの下には香ばしいほうじ茶アイス。
アイスには美作の海田園さんの茶葉を使用しているそうです。
緑茶のジュレやあんこと一緒にぱくり。
ほうじ茶アイスの下は、抹茶のアイスがあります。
クルミが入っているので、ザクザクと食感の変化もあって飽きません。
抹茶アイスの下には、カボチャと抹茶の餡があります。
カボチャの自然な甘みと抹茶の深みの組み合わせが相性良いんですね。
最後にとっておきの味が用意されているとは!
おうちで三宅商店の人気メニューはいかが?
三宅商店では、メニューにも使用しているジャムなどの販売もしています。
お店の入り口右手には三宅商店のレトルトカレーや、かき氷のシロップなどの販売コーナー。
カレーもかき氷も三宅商店の人気メニューです。
おうちでも三宅商店の味を味わえるなんていいですよね。
入り口左手にはジャムとマスキングテープがずらり。
ジャムは酒津にある三宅商店の工房で作られています。
見た目もかわいいので、県外のかたへのお土産やプレゼントにも喜ばれそうですね。
さて、このなかで気になったのがレトルトカレー。
まさか人気のカレーが家で食べられるなんて!
味の再現性も気になったので購入することに。
レトルトパウチをお湯で約5分温めて、玄米入りのごはんと食べました。
想像より多く豚肉が入っていたので、「あれ?レトルトなのに豪華だなぁ」と思ってしまいましたよ。
引き締まった固めの肉と脂がのってやわらかいものと両方入っています。
季節野菜のトッピングはないので、見た目はお店のものと違いますが、味は同じ!
野菜と果物の甘さが際立つルーで、再現度の高さに驚かされます。
三宅カレーのレトルトは以下で購入できます。
- 町家喫茶 三宅商店
- 林源十郎商店
- 水辺のカフェ 三宅商店 酒津
- オンラインショップ
続いて、スタッフの中曽(なかそ)みどりさんに話を聞きました。
「町家喫茶 三宅商店」スタッフの中曽みどりさんにインタビュー
観光地の倉敷美観地区にあり、観光客からも地元民からも愛される、町家喫茶 三宅商店。
スタッフの中曽(なかそ)みどりさんに話を聞きました。
インタビューは2021年6月の初回取材時に行った内容を掲載しています。
──メニューのこだわりについて教えてください。
中曽(敬称略)──
旬の食材を使って季節を感じるメニューにすることがこだわりですね。
季節のフルーツなどの食材は契約農家さんから買い取らせていただいて、なるべく岡山県産や瀬戸内産のものを扱っています。
なかには規格外で商品にならないものがあるのですが、それを捨てるのではなく、適正価格で買い取らせていただき使用しています。
他にはカフェメニューに使うだけでなく、フルーツを店頭で「おすそわけ」という形で販売もしているんです。
都会のかたは、新鮮なフルーツは贈答品で高いイメージがあるようで驚かれています。
ケーキ類も旬のフルーツを使いますが、ないときにはその季節に食べたくなる要素を入れて作ります。
けっこうみなさんに驚かれるのが、一から手作りしていることです。
ケーキのソースはもちろん、アイスも手作りしています。
小豆も炊いていますし、クッキーも出来合いではなく手作りです。
手作りのおいしさ、旬のものの良さを感じてもらいたいですね。
県外のかただけでなく、地元のかたにも味わっていただきたいと思っています。
──カレーにもこだわっていますよね。
中曽──
カレーはいろいろなスパイスを調合し、トマトやフルーツを入れて作っています。
フルーツが入っているので甘みがあり、小さなお子様にも楽しんでいただけているんです。
誰にでも食べやすくて親しみのある味だけれど、食材にこだわっています。
──レトルトカレーを作った理由は?
中曽──
当店の人気のメニューであるカレーを、おうちでも楽しんでいただきたいと思い一年ほどかけて商品化しました。
カレーの味は当店のものと同じです。
三宅商店の系列店とオンラインショップで購入いただけます。
人気といえば、かき氷のシロップも販売していて、お土産に購入してくださるかたもいます。
特に白桃が人気ですね。
──建物自体も魅力的ですね。
中曽──
建物は江戸時代後期に建てられた町家です。
屋号は戦前に荒物屋をしていた時のものをそのまま使っています。
建物には、もちろん新しいものもあるのですが、当時のものをなるべくそのまま利用しています。
土壁は前の所有者のかたが改装したのかもしれませんが、三宅商店を始めた段階では何も変えていません。
ちょっと歪んでいる箇所や天井の亀裂もあるのですが、最小限の改装にしています。
──お店ができて、美観地区のひとの流れが変わりましたか。
中曽──
私は倉敷出身で、高校生の頃は大原美術館などがある通りが主ににぎわい、当時美観地区は観光地で観光客の方が訪れる場所というイメージがあったと思います。
2004年に三宅商店が始まってから、ここの通りにも次々とお店もオープンしました。
林源十郎商店もできて、観光客も地元客も増えたかと思います。
三宅商店を訪れるのは、割合としては観光客のほうが多いですね。
見慣れない、江戸時代からの古い建物に感動されているようです。
コロナ禍の前は県外も外国からも来てくださっていました。
地元のかたは、隠れ家的でおしゃれなお店を求めに来てくださっているようです。
──今後の想いは?
中曽──
持続可能な社会の大切さが昨今叫ばれていますが、三宅商店は注目される前から取り組んでいました。
これからも持続可能な取り組みを続けていきたいですね。
他にはここでしかできない体験をしていただきたいことですかね。
ここ最近夏はどんどん暑くなっているので、一応エアコンがあるのですが、風を感じてもらって、冷たいかき氷を食べて体を冷やすなど季節を感じる体験をしてほしいです。
そのような体験の場を提供したいですね。
今までは流行だから、おしゃれだからと来てもらっていたかもしれません。
しかしこれからは、ここでしか体験できない時間や空間などを目指して来ていただけるようにしていきたいですね。
そのためにも発信を続けていきたいです。
歴史と旬を感じるカフェ、三宅商店へ
倉敷の歴史を感じる建物で、旬の食材を使ったカレーやスイーツを提供する三宅商店。
三宅商店でしか体験できない時間の流れと、昔ながらの懐かしい空間を感じながらゆったりとし時間を過ごすのはいかがでしょうか。
そして食後は倉敷美観地区の散策をするのもおすすめですよ。