“未完の大器”ソフトバンク・田中正義が2年ぶり一軍昇格 倉野コーチ「自分で『形』見つけた」

二軍でしっかり結果を出したソフトバンク・田中正義

2016年ドラフトで5球団が1位指名で競合した「未完の大器」が紆余曲折を経て待望の一軍切符を掴んだ。ソフトバンク・田中正義投手(26)が25日の楽天戦(楽天生命パーク)から2年ぶりに一軍に合流することが24日、分かった。また、開幕から中継ぎとしてブルペンを支えてきた泉圭輔投手(24)が登録抹消となる。

今季はここまで二軍で16試合に中継ぎ登板して防御率1・06と好成績をマーク。22日のウエスタン・阪神戦まで5試合連続で与四球なしと安定感のある投球で、昨季終盤から続く好感触を維持していた。

4月16日のウエスタン・中日戦で左足首を痛めるアクシデントで後退を余儀なくされたが、5月に戦列に戻ると徐々に本来の投球を取り戻し、首脳陣の評価を高めていた。これまで状態が上向くたびに故障に泣かされ、辛いシーズンを重ねてきた右腕。入団以来、追い求めてきた肩肘に負担のかからないフォームの習得に自信を深め、精神面でも大きく成長している。その姿に倉野ファーム投手統括コーチは「ケガの功名じゃないけど、ケガをして負担のかからない投げ方を模索するうちに、自分で『形』を見つけた。与えられたものより、自分で見つけたものだから大きい」と5年目の開花に期待をかけていた。

入団4年目までの一軍成績は2018年に10試合、2019年わずか1試合の登板。誰よりも納得していないのは本人で、球団とファンに対する申し訳ない気持ちを強く持ち続けてきた。今春キャンプ前には「前を見て進むだけ。結果でしか証明できない」と、一軍戦力としての恩返しを誓っていた。苦節を経て掴んだ一軍での挑戦権。弾丸のような最速156キロの真っすぐを投げ込む剛腕が、思う存分に腕を振る時がやってきた。

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