ブライアン・メイ自身のソロ曲「Driven By You」制作背景を語る「ソロ曲にすることをフレディが祝福してくれた」

2021年8月6日にリマスターや貴重な音源が追加されて発売される、ブライアン・メイ初のソロ・アルバム『Back To The Light(邦題:バック・トゥ・ザ・ライト~光にむかって~)』から「Driven By You」の音源が公開となった。新たにミュージック・ビデオも制作され、日本時間6月25日深夜24時に公開される。

当初1991年11月にシングルとして発売された「Driven By You」は、全英シングル・チャートで6位、全米ビルボード・アルバム・ロック・チャートで9位を記録。新たなミュージック・ビデオの映像は、1991年にスペインのセビリアで開催されたコンサート「ギター・レジェンド」でブライアンが同曲をライヴで初めて歌った模様と、1992年に行われた自身の南米ツアーで撮影された映像が使用されている。ブライアンと共にこの曲を演奏しているのは、コージー・パウエル(ドラムス)、ニール・マーレイ(ベース)、スティーヴ・ヴァイ(リズム・ギター)を含むバンドに加え、リック・ウェイクマンとマイク・モーランがキーボードに、マギー・ライダー、ミリアム・ストックリー、クリス・モーランがバッキング・ヴォーカルに参加している。

<動画:Brian May – Driven By You (Official Video Remastered)>

 

切っ掛けとなったフォードのCM

ブライアン・メイ初のソロ・ヒット曲「Driven By You」と、それを作るきっかけとなった自動車メーカーであるフォード社のテレビCMが生まれたのは、全く思いも寄らない所からであった。ブライアン・メイはこう語る。

「曲作りというのは、一種の謎なんです。曲がどこから生まれて来るのか分からない。私に分かっているのは、とあるCMプロデューサーと一緒にロサンゼルスのプールサイドに座っていたってことだけですね。彼はそこに座って日光浴をしていた。私は未来の妻と一緒にプールサイドで日光浴をしていて、そこでふとお喋りが始まったんです。彼は『へえ、それじゃ君は曲を書くんだね?』と言った。私は『うん、曲を書くよ』と答えた。すると、彼は『だったら、CMソングを書いてもらえるかな? 今までやったことある?』と、尋ねてきたんだ。そこで私は、『いや、これまでやったことはないな』と言った。彼が『やってみたいかい?』と尋ねてきたから、私は『ええ、とても面白そうだ』と答えたよ。そしたら彼が、“僕らのすることは全て君のため / Everything we do, we do for you”というスローガンをどう思う?と聞いてきたんです」

「そして私は、『いいね、共感できるよ』と答えた。それは私自身、心の中で感じられた気持ちですからね。それからそこに修正が加えられた。車が題材の曲だったから、『僕らのすることは全て、君に駆り立てられて(Everything we do is driven by you)』となって、私はさらに気に入ったんです。彼がそれを口にしてすぐ、私は小さなテープ・レコーダーを持ってバスルームに行き、浮かんだ曲をテープ・レコーダーに吹き込んだ。ヴァースの大部分とコーラスの一部を歌ったんだけど、突然、光が差し込んで、頭の中に曲が流れてきて、“Driven By You”全体が聞こえてきた。帰国して、すぐにスタジオに入り、彼らのために速攻で完成させました。そしたら、彼らがそれを気に入ってくれたというわけです」

 

フレディがかけてくれた言葉

ブライアンは、フレディ・マーキュリーの晩年、彼との間に特別な理解が生まれる上で、この曲「Driven By You」が助けとなったこと、そしてクイーンのヴォーカリストであるフレディが、親愛なる友人であり、バンド・メンバーでもあるブライアンに、ソロ・キャリアで「自分の翼を見つける / Find his wings」よう励ましてくれたことも明かしている。フレディについて、ブライアンは次のように語っている。

「私はこの曲をフレディに聴かせて、『フレディ、もしもこれがクイーンの曲になったら、まあ多分そうなるだろうけど、もちろん君が歌うべきだよ』と言うと彼は『君の歌はすごく良いじゃないか、ダーリン、これは君が歌うべきだよ』と言ってくれました。今にして思えば、私が上手く歌ったのか、本当に彼が思ったからなのか、それとも単に彼が歌うつもりになれなかったからなのか、私には分からない。でも彼は、『美しいし、素晴らしいし、このままで完成度が高いから、君がやるべきだ』と言ってくれてね。そして彼はとても深いことを言ってくれたんです。『僕らは皆、この先、僕の身に何が起きるのか、どうなってしまうのか考えているよね。君がそれを気まずく感じる必要はないんだよ。君は今、自分のソロ活動について考えるべきだし、もしこれがソロ活動の始まりとなるなら、それはとても価値のある始まりだ。君は君自身の翼を見つけなければ。そして、これは恐らくその始まりなんだよ』とね。フレディはすごく将来のことを見据えていて、いつもながらとても寛大で、これをソロ曲としてやることを許可してくれた。そして、私はそうしたんです」

「私はこの曲の歌詞を、人間関係で受けた傷を癒すセラピーとして書き換え、『僕のすることは全て、君に駆り立てられている/ Everything I do is driven by you』という内容にした。それをシングルとして発表したところ、ヒットになったんです。自分一人でも出来ることがあると感じられたのは、私にとって大きな励みとなりました。そこでの私はクイーンを構成する一部ではなかった。曲作りの核心として私が信じているのは、正にそういったことでした。つまり、時に人は、自分がなぜ曲を書いているのか分からなくなることがある。どこからそれが生まれて来るのかも分からない。だけど、様々な角度から考えて、納得できる一つの解釈に繋がることがあるんです。また、私にとって、物事には常に人生が絡んでいる。常に人間関係が絡んでいる。自分の恋愛関係、あるいは周りの人との関係。人間同士の触れ合い、相互作用ということだね。それは私にとって世界で最もエキサイティングなことであり、最も大切なことであり、人生において正しい方向に進むのが最も難しいことでもある。素晴らしいことを成し遂げられる人々は、世の中に大勢いるだろ。例えば、飛行機を飛ばしたり、月に行ったり。でも人間関係というのは……そう簡単なものじゃない。だからいつもそれがテーマとなるんです」

今回新たに発売される『Back To The Light』の2CDのディスク2である『Out of The Light』には、「Driven By You」のオリジナルのフォードCMヴァージョン、コージー・パウエル&ニール・マーレイによる1993年ヴァージョンなど、「Driven By You」の別ヴァージョンが3曲収録されている。

Written by uDiscover Team

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ブライアン・メイ『Back To The Light』
2021年8月6日発売

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