東京五輪も他人事ではない!選手ら140人感染の南米選手権は「死のトーナメント」

SNSで大会を批判したマルセロ・モレノ(ロイター)

「死のチャンピオンシップ」――。深刻な新型コロナウイルス禍のブラジルで開催中のサッカーの南米選手権の惨状についてアイルランド紙「アイリッシュタイムズ」が25日に伝えている。

同紙は、華やかな雰囲気で開幕し、いよいよ決勝トーナメントが始まる欧州選手権と南米最古の大会を比較し「ファンたちは(大会開催を)望んでいない。スタジアムは空(無観客)。新型コロナウイルスの影響はたくさんあるが、それでも試合は続けられている」と、対照的なムードを伝えている。

大会前に急きょ開催国に名乗りを挙げたブラジルでは、同国代表イレブンが大会開催を非難する声明を発表し、一部のスポンサー企業がブラジル国内のコロナ禍を理由に撤退した。国内のテレビ視聴率も「日曜日のゴールデンタイムに記録的な低視聴率を記録」するなど、まったく盛り上がっていないという。

また、これまでに各国代表の選手、スタッフら合わせて140人が新型コロナウイルスに感染し、大会続行への不安は高まっている。同紙は、ブラジル全土でコロナ関連の死者が50万人を超えたことから「ブラジルで感染拡大について調査した上院議員が『死のチャンピオンシップ』と名付けた」と報じた。

また、ボリビア代表FWマルセロ・モレノ(34=クルゼイロ)はSNSで大会を批判。主催者へ向けて「人が死んだら、あなたはどうしますか?あなたにとって重要なのはただのお金です。プレイヤーの人生は何の価値もありませんか?」と書き込み、大きな共感を得たものの、大会側から罰金と1試合に出場停止を受けたという。

約1か月後に東京五輪を控えるが、強行開催した南米選手権の惨状は他人事ではないようだ。

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