【横浜市長選】「横浜へのIR誘致を取りやめる」 小此木氏が明言、首相にも伝達「無言の時間が流れた」

横浜市長選出馬について会見する小此木氏=横浜市役所

 任期満了に伴う横浜市長選(8月8日告示、22日投開票)への出馬に向け、国家公安委員長兼内閣府特命担当相を辞任した小此木八郎氏(56)=衆院神奈川3区、自民党=は25日、市役所で会見し、市長選への出馬にあたり「横浜へのIR(カジノを含む統合型リゾート施設)誘致を取りやめる」と明言した。

 菅義偉首相(2区)の盟友でカジノ管理委員長として肝いり政策を進めてきた小此木氏が地元へのIR誘致を拒否したことは今後、大きな波紋を広げそうだ。

 関係者によると、当初は「山下ふ頭への誘致」に反対姿勢を示していたが、この日の会見では「横浜全体への誘致反対」に踏み込んだ。横浜商工会議所など地元経済界は「代替地や代替案を」と着地点を求めていたが、突き放した格好だ。

 小此木氏は、市長選の大きな争点の一つとなるIRについて「反対ということで報じられているが、(誘致を)取りやめることで訴えたい。2016年の推進法、18年の実施法に賛成してきた」と自身の対応を回顧。その上で、「しかし20年明けから新型コロナ(ウイルス)という今までにない感染症が広がってきて、市民の信頼を得られていないと感じてきた。コロナという感染症と戦うために取りやめる」とした。

 さらに「市長になれば、IR構想を取りやめることから始める。代わりになるものに力を入れる。横浜への誘致は現時点で環境は整っていない」との見方を示し、記者からの確認にはあらためて「横浜へのIR誘致そのものに反対。取りやめです」と強調した。

 小此木氏は「閣僚辞任は簡単なことではないが、生まれた横浜は大事な場所だ」と決意の一端を披露。菅首相とのやりとりについては「『出馬するがIRを取りやめる』と話した。無言の時間が流れたが、真剣さが伝わったと思う。首相は『分かった』と。それが5月の下旬。顔つきはあまりいいもんじゃなかった。そう愛想がいいほうじゃないから」と説明した。

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