映画「咲む」横浜で上映へ ろう者の交流がテーマ 「密」防止に障害者の視点も

ガイドラインを紹介する早瀬さん=横浜市中区

 ろう者の女性の成長を描いた映画「咲(え)む」が27日を皮切りに、横浜市内5会場で上映される。関係者は新型コロナウイルス対策として、独自で感染防止のガイドライン(指針)を策定。来場者に安心して作品を楽しんでもらおうと奔走している。

 作品はろう者の藤田菜々子さんが演じる看護師の女性と、限界集落の人々との交流を描いた物語。「共生というと難しいと思われるが、作品を楽しみながら『共に生きる』ことは難しくないと感じてほしい」。監督・脚本を手掛けたろう者の早瀨憲太郎さん(48)=横浜市=は訴える。

 作品は昨夏から上映を開始。ただ、コロナ禍に見舞われ「来場者も不安に感じると思う」(早瀬さん)と、指針づくりに乗り出す。早瀬さんの妻で薬剤師として医療現場で働く久美さん(46)も協力した。

 4月に完成した指針では▽準備段階▽入場者への周知▽開催時の注意点▽開催の判断方針─のそれぞれで確認事項を明記。「密」を避けるための動線や換気といった基本的な対策から、車いす利用者や盲ろう者の席の間隔の確保など障害者の視点も盛り込み、確認事項は48項目に上る。

 既に全国20以上の会場で指針に沿った形で上映会が開催されており、来場者からは「安心して鑑賞することができた」との声が寄せられているという。

 早瀬さんは「最初は不安もあったが、各会場ではクラスター(感染者集団)の発生もない。幅広い方に鑑賞してもらいたい」と呼び掛けている。

 上映会の日時は次の通り。

 ▽27日、金沢公会堂(金沢区)▽8月29日、磯子公会堂(磯子区)▽9月23日、横浜市教育会館(西区)▽12月19日、神奈川公会堂(神奈川区)▽2022年2月20日、泉公会堂(泉区)。開始時間は午前11時と午後2時(横浜市教育会館のみ午前10時15分と午後1時45分)。

 料金は高校生以上1200円、小中学生500円。チケットは事前購入が必要で専用サイト(https://yokohamadeaf.stores.jp/)から。

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