【東京五輪】ウガンダ選手団 “デルタ株” の衝撃 「誰もが濃厚接触者になる危険性…恐怖でしかない」

空港ではどうしようもないのか…

東京五輪の事前合宿のため来日し、新型コロナウイルスに感染していたウガンダ選手団の一人が厚労省によるゲノム解析の結果、インドで初めて確認された「デルタ株」だったことが判明した。

ウガンダ選手団9人は19日に来日。入国時の成田空港の検疫で1人が陽性となったが、選手団はそのまま滞在先の大阪府泉佐野市内へ入った。その後、濃厚接触者を調査すると別の1人の陽性も判明。この選手もデルタ株の疑いがあるという。

この一報に五輪関係者は戦々恐々だ。デルタ株は感染力が非常に強いと言われ、インドで拡大中。かねて日本政府は水際対策を強化しており、国際オリンピック委員会(IOC)は東京大会に参加するインド、パキスタン、ネパール、バングラデシュ、モルディブ、スリランカの6か国に関しては選手全員がワクチン接種を受けてから日本へ渡航する誓約を発表。警戒感を見せていたにもかかわらず、よりによって事前合宿地入りした選手から感染者が出てしまった。

何より問題なのは来日した選手団の中に陽性者が出たとしても、濃厚接触者の特定をしないまま宿泊地へ移動せざるを得ない点だ。組織委の担当者によると「空港検疫で判明した陽性者はすぐに隔離されるが、濃厚接触者がその瞬間に決まるわけではない。所管の保健所で最終的に濃厚接触者の認定・指定が行われる。つまり、濃厚接触者になるかもしれないチームメートがそのまま移動し、選手村に入るケースは当然あり得る」と説明する。

この場合、移動は専用車両。降車してから選手村への誘導には十分な注意が払われ、今後はシステムが変更する可能性もあるが、ある五輪関係者は「誰もが濃厚接触者になる危険性がある。恐怖でしかない」と不安の表情を隠せない。組織委の橋本聖子会長(56)は「より厳しい措置をしていかなければいけない。今回のウガンダの件、あるいは海外の例につきましても今後の運用において参考にしたい」と話していたが、果たして対策強化は本番までに間に合うだろうか。

© 株式会社東京スポーツ新聞社