川崎市、高潮時の避難場所追加 新たに浸水想定の幸・中原区

川崎駅の北側も広い範囲で高潮の影響が想定され、緊急避難場所が追加された=川崎市幸区の市立南河原中学校

 東京湾沿岸で台風などの際に発生の恐れがある高潮に備えようと、川崎市は緊急避難場所となる学校27校を追加した。従来は海に面した川崎区のみで指定していたが、神奈川県による最大級の高潮想定で新たに浸水が見込まれた幸、中原両区でも避難場所を選び、計59校に増やした。

 市危機管理室によると、高潮の避難場所に追加された小中学校などは、幸区が21校、中原区は6校。川崎区の32校のみだった従来と比べ、1.8倍に増えた。

 追加指定のきっかけとなった高潮の浸水想定区域図は、2019年4月に県が公表。浸水の恐れがあるエリアは川崎区が27.0平方キロ、幸区は7.4平方キロ、中原区では1.0平方キロとされた。川崎区には、浸水が半日以上継続すると予想される地域もある。

 こうした深刻な想定結果を踏まえ、市は浸水エリア内の小中学校などを避難場所に指定。付近の住民がいち早く逃げ込めるようにした。

 市はさらに、高潮と河川洪水時に逃げ込めるよう、それぞれ選んでいる避難場所の指定基準を見直した。想定される浸水の深さが3メートル未満であれば避難場所の2階以上、3メートル以上5メートル未満の場合は3階以上を避難フロアとして活用できるよう変更し、安全面を考慮しながらスペースの拡充を図った。

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