「カネミ油症」次世代調査 被害者の孫も対象 8月、同意書など送付

カネミ油症被害者全国連絡会のオンライン記者会見で「次世代を救いたい」と話す下田順子さん

 長崎県など西日本一帯で1968年に発覚したカネミ油症事件を巡り、厚生労働省や被害者団体などが出席する油症対策委員会が25日開かれ、救済策のない次世代被害者の健康状態などを把握する調査の対象者に認定患者の子ども(2世)だけでなく、被害者側が強く求めていた孫(3世)も加える方針を決めた。対象の2世は約300人を想定。3世の規模は不明。同意書と調査票は8月に送付する見通し。
 次世代被害者に特化した公的な健康調査は初めて。全国油症治療研究班(事務局・九州大、辻学班長)が実施する。
 同委員会の会議はオンライン形式(非公開)であり、終了後、カネミ油症被害者全国連絡会が記者会見で明らかにした。
 調査票は、自覚症状や病歴などを問う内容。研究班は健康状態などを把握し、診断基準の見直しなど救済に向けた医学的根拠を積み上げたい考え。
 今後、7月末に開く被害者団体と国、原因企業カネミ倉庫(北九州市)の3者協議で調査内容を最終確認。調査票などは8月に全国の認定患者に送付し子や孫に渡してもらう。10月までの回収を目指す。客観的データを把握するため、調査に協力した子や孫には油症検診の受診を促す。
 同連絡会によると、辻班長は、油症の主因ダイオキシン類など有害物質汚染の油を食べていない人の子どもと比較した場合、有意な差が出るだろうとの見方を示したという。
 記者会見で、ある被害者は「孫にも(体への)何かしらの現象が出ており、調査の対象に加えられたことは良かった」と述べた。長崎本土地区油症被害者の会代表の下田順子さんは「子を持つ親として次世代を救いたい。油症認定を目指していきたい」と話した。

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