ブルー(Blue)「The Gift」の魅力:今も日本で愛され、最新ベストに新録が収録される名曲の想い出

ラジオDJ、ライナー執筆など幅広く活躍されている今泉圭姫子さんの連載「今泉圭姫子のThrow Back to the Future」の第49回。今回は、最新ベスト・アルバム『Royal: The First Twenty Years(邦題:ロイヤル:20周年シン・ベスト)』が2021年7月14日に発売となるブルーの先行シングル「The Gift (20th Anniversary)」について。

<動画:The Gift (20th Anniversary) [Official Lyric Video - Japanese]>

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2003年にリリースされた楽曲が、今でも愛される理由。それは、時代の流行に関係なく、多くの人たちの心に優しく触れるメロディと、そのメロディを際立たせる歌声があるからでしょう。今年デビュー20周年を迎えたBlueが歌う「The Gift」は、そんな名曲と呼ばれる1曲だと言えます。以前もこのコラムで紹介しましたが、「The Gift」は日本の結婚式会場で流れるランキング・チャートの上位に居続けています。コロナ禍の前までは、ONE OK ROCKの「Wherever You Are」に続く2位を2年連続でキープしていました。

発売から18年の月日が流れても、このような形で愛され続けている「The Gift」は、槇原敬之さんがBlueのために書き下ろした楽曲であり、Blueが来日中にSMAPの「世界に一つだけの花」を聴き、このような楽曲を歌い日本のファンに感謝を伝えたいというメンバーの思いから生まれたことは、もうご存知のはずです。

しかし、日本独特のメロディ・ラインに英語詞を乗せて歌うということは、彼らにとっては簡単なことではありませんでした。完成直前のデモを聴いた時は、メロディラインが自然に耳に残り、なんて素晴らしい楽曲なんだろうと思ったのは、私が日本人だったからかもしれません。Blueのメンバーにとっては、いくら英語詞でも、彼らがプロフェッショナルなシンガーであっても、体に染み込んでいない耳慣れないメロディラインに苦戦したのは当然のことかもしれません。とはいえ、18年経った今、改めてこの曲に彼らが向き合うことで、Blueの中でも「The Gift」は、まさに“贈り物”の楽曲であったことを認識することになります。

デビュー20周年を記念したベスト・アルバム『Royal: The First Twenty Years』には、「The Gift」の新録音「The Gift (20th Anniversary)」が収録されています。現在43歳のダンカン、42歳のサイモン、40歳のアントニー、38歳のリーが歌うからこそ、この曲の愛のメッセージに優しさと深みが増し、新しい人生の門出を祝うカップルのためのウエディング・ソングとして完成されたといえます。もちろん若々しい歌声のオリジナル・ヴァージョンも大好きですが。

新録音を聴く前は、オリジナルを超える新録音はない、と信じて疑わなかったのですが、イントロからダンカンの歌声が流れ、その瞬間に胸がキュンとして、不覚にも涙が出てきました。オリジナルに勝るものはない、と思っていた私のハートを射抜いてしまったのです。楽曲の持つパワーは、今のBlueの4人が歌い直しても失われることはなく、新たな輝きを放っていたのです。

初来日公演で披露した「The Gift」は、練習不足の上、歌い慣れていないことで担当割を忘れてしまう珍ハプニングがありました。それはそれで可愛かった時代です。あれから18年が経ち、楽曲が名曲となり、多くの人たちがその歌声を聴きたいと思う時代になりました。音楽コンサートが楽しめる新しい時代は、もう目の前です。Blueの20周年コンサートが、日本で開催されることを祈り、大人になった4人の歌声で「The Gift」を聴くことができる日を楽しみに待つことにしましょう。

『Royal: The First Twenty Years』には、他にも「One Love」のリミックスが収録され、日本発売がなかったユーロビジョン・ソング・コンテストの参加曲「I Can」も収録。まさに20周年を祝うのに相応しい新ベストになっています。

Written By 今泉圭姫子

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「The Gift (20th Anniversary)」収録の最新ベスト盤

Blue『Royal: The First Twenty Years』
2021年7月14日発売

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