オリックス一筋・笑福亭松喬の嘆き「なんで地上波の全国ネットの時に弱いんや?」

阪急時代から応援を続けているという笑福亭松喬

例年にない? 粘りで大健闘を見せるオリックスを落語の高座から手に汗握って見守る噺(はなし)家がいる。上方落語界のオリ党で知られる笑福亭松喬(60)だ。阪急時代からオリックス一筋。今季は25年ぶりの優勝に期待も膨らむ中、上位争いを戦う心得を松喬が自らの高座と照らし合わせてアドバイス。さらにV公約として〝ビッグプレゼント〟プランを明かした。

【笑福亭松喬インタビュー(2)】

――今季はしぶとい試合ができているが…

松喬 能見(篤史)を獲った時はアホか、と思ったけど、謝らないといけませんね(笑い)。打線も2~3点差を逆転できるようになりましたし、CSに出れそうな雰囲気にはなってきました。でも山本(由伸)の時になんであんなよう打たんのですか。それに地上波の全国ネットの時に弱いですよ。

――多くの視聴者がいる試合では苦戦すると

松喬 今年も地上波のソフトバンク戦で0―13がありました。その前後のBS放送の試合は勝っているのにね(笑い)。昔の近鉄時代の仰木彬監督は地上波の全国放送の日程を見て、そこを全部野茂(英雄)にしたというんです。相手より全国ネットありきで(笑い)。今やったらそこは山本でしょうけど、中嶋(聡)監督はそれはしないですよね。ウチの商品やで、という気持ちで若い選手をアピールできると思いますけど…。松竹芸能の寄席に(笑福亭)鶴瓶が来てくれたらうれしいでしょう。

――今季は高卒2年目の宮城やルーキー紅林、大砲の杉本も頭角を現した

松喬 ウチの息子の名前、佑太郎なんです。阪急の投手の今井雄太郎さんから付けたんですけど、今は杉本裕太郎ですよ(笑い)。ゆうたろう、いい響きですよ。去年くらいから大きいのを打て出した。でも、まだ福岡行ったらビビるところもあるような気がしますね。

――T―岡田も勝負強くなってきたのでは…

松喬 もちろんベテランも大事ですからね。でも左投手が苦手なんで古典的な左打者ですな(笑い)。今の阪神の佐藤輝やヤクルトの村上なんか左でも平気で打つじゃないですか。ちょっとボヤキ節が多いですか(笑い)。

――この先、CSとか優勝争いになると満員の中でやることにもなる

松喬 我々も東西名人会で東京で落語をやることがあるんですけど、座布団もふかふか。繁昌亭のペラペラのと全然違うから座っただけで緊張する。慣れている人と比べると、ヨソ行きになって実力が出ない。プロ野球もお客さんの数がふだんと違ってきます。水道橋(東京ドーム)と大正区(京セラドーム)とは違いますよ(笑い)。そういう意味ではオリックスの選手はローカル色が強いので、まだまだ成長して頑張っていかないとね。阪急時代は強くても客が集まらんかったけど、今は強いと集まります。若い選手があの雰囲気を味わわなあきません。

――では今季、25年ぶりに優勝したら何か選手にプレゼントを考えている?

松喬 繁昌亭にオリックスの選手を招待しましょうか。中嶋さんとか来てくれたらうれしいなあ。僕は落語の枕(本題に入る前の話題)でオリックスの話はよくしますよ。古典落語なので創作派じゃないんですけど、優勝したらやりましょうか。

☆しょうふくてい・しょきょう 本名・井田達夫 1961年3月4日 兵庫県西宮市出身。大阪産業大学卒業後、83年に笑福亭鶴三(6代目松喬)に入門。笑三、三喬を名乗り、2016年に7代目松喬を襲名した。88年にABC漫才落語新人コンクール落語部門最優秀新人賞、02年に第1回R―1ぐらんぷり決勝進出、05年に上方お笑い大賞最優秀技能賞、文化庁芸術祭優秀賞など受賞多数。トレードマークの角刈りから「落語界のプーさん」と親しまれ、大阪・天満の繁昌亭を中心に落語会やラジオ番組で活躍している。7月10日(土)に神戸・喜楽館で「米二 松喬 銀瓶 三人会」(午後6時開演)が行われる。

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