【宝塚記念】2馬身半差完勝のクロノに馬匠渡辺「歴史的名馬の域に入ってきた」

代役の務めを120%果たしたルメール

【渡辺薫&柏木集保「私たちはこう見た」 宝塚記念】

渡辺 去年も強かったし有馬記念も強かったが、今年もクロノジェネシスは強かった。シ烈な2着争いを尻目に2馬身半差は見事と言うしかないな。

柏木 パドックで少しチャカついていたので不安も覚えましたが、本馬場入場後は落ち着き払って発汗もありませんでした。ルメールさんも自信を持って乗っていましたね。これまでは時計のかかる馬場で強いイメージもありましたが、良馬場の決め手比べでこの内容ですから文句が付けられません。

渡辺 2分10秒9は12年オルフェーヴルと並んで歴代3位タイの好タイム。連覇はゴールドシップ(13~14年)に次いで2頭目だから歴史的名馬の域に入ってきたな。ドバイシーマクラシック(2着)の内容も加味すればワールドクラスと言っても過言ではない。

柏木 凱旋門賞のことを考えると経験値のあるルメールさんで勝てたことも大きいですね。募集時の写真を見た時から、いい馬だとは思っていましたがここまで強くなるとは…。成長曲線はリスグラシューをほうふつさせます。昔と違って“変な使い方”をしなくなったことで資質のある牝馬は大レースでも力を出し切れるようになっています。

渡辺 大方の見方はその牝馬の3強だったが…。レイパパレはユニコーンライオンに差し返されて3着まで。最後の最後でのギブアップは2200メートルが少し長かったのかもしれない。

柏木 陣営は挑戦者の立場を強調していましたが、思ったよりも弱気なレースになってしまいましたね。自分のリズムでスパートしていれば結果は違っていたかもしれません。それでも4歳牝馬で3着は普通ならば大絶賛の結果です。評価を下げる必要はまったくないでしょう。

渡辺 うん。56キロの斤量も初めてだったし本当に強い相手にモマれた経験も少ないからな。今後に期待しよう。牝馬勢に割って入ったユニコーンライオンをどう見るか? 好枠から自分の形に持ち込めたとはいえ驚きの粘走だった。

柏木 前走の鳴尾記念もそうでしたが、前半5ハロン60秒0→後半58秒5はさすがにオープン馬なら楽なペースです。それにレイパパレも前半はプレッシャーをかけなかったことも大きかったですね。坂井クンの騎乗も思い切りが良かったです。

渡辺 カレンブーケドールは今回も定位置の善戦止まりだった。残り800メートルから11秒台のラップが続く決め手比べの展開も向かなかった。

柏木 戸崎ジョッキーはそつなく乗りましたが…。タメても切れないですし、早く動いてもタレてしまう。どうにももどかしいですね。

渡辺 カレンからも2馬身半遅れた5着がキセキ。これに負けた組は厳しい評価を下さざるを得ない。特にアリストテレスは鍛え直す必要がありそうだ。

柏木 どうも伸び悩んでいるというか、スランプに突入した感は否めません。

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