「すごく愛らしい人」作品も人柄も魅力的 絵本を合作・いわむらかずおさん(益子在住)、「はらぺこ-」のカールさんしのぶ

合作絵本の制作に当たり、エリック・カールスタジオで意見を交わすカールさん(右)といわむらさん=2000年6月、米マサチューセッツ州・ノーサンプトン(いわむらかずお絵本の丘美術館提供)

 世界的な人気絵本「はらぺこあおむし」などで知られる米国の絵本作家エリック・カールさんが5月23日、91歳でこの世を去った。「すごく愛らしい人」。20年前、出会ってすぐに意気投合し、合作で絵本を制作した栃木県益子町在住の絵本作家いわむらかずおさん(82)は当時を振り返り、故人をしのんだ。那珂川町のいわむらかずお絵本の丘美術館では一角に追悼コーナーを設け、カールさんの人柄がうかがえる貴重な資料を公開している。

 カールさんは生き物を描いた絵本を得意とし、アオムシが果物などさまざまな物を食べて美しいチョウになる「はらぺこあおむし」を1969年に出版。70カ国語以上に翻訳された。

 いわむらさんはカールさんを、「世界中の子どもたちに愛される絵本を出してきた。すごいこと」とたたえる。「はらぺこ-」は、ページに穴が開いている仕掛けなど「楽しめる要素がいっぱいある」といい、物語に関しても「アオムシが成長してチョウになるだけで魅力的なテーマなのに、アオムシが食べないような、子どもが大好きなケーキなんかを食べちゃう」と目を細めた。

カールさんの追悼コーナーといわむらさん=17日、那珂川町のいわむらかずお絵本の丘美術館
トークショーで来日時、いわむらかずお絵本の丘美術館の中庭で写真に収まるいわむらさん(右)とカールさん。寒かったため、いわむらさんがカールさんにベストを貸したという=2000年1月(いわむらかずお絵本の丘美術館提供)
「どこへいくの? To See My Friend!」表紙(1)
「どこへいくの? To See My Friend!」表紙。左からカールさん(上)、右からいわむらさんが描いた

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