DeNAが阪神に3連勝 球団OBが称えた22歳捕手の配球と抑止力「大山は外スラで…」

DeNA・山本祐大【写真:荒川祐史】

交流戦3位の原動力・伊藤光欠場の穴を埋めた22歳

■DeNA 8ー3 阪神(27日・甲子園)

DeNAは27日の阪神戦で8-3で快勝し、敵地・甲子園で今季初の同一カード3連勝を飾った。正捕手の伊藤光捕手が腰痛を訴え、不安いっぱいで迎えた3連戦だったが、代わりに4年目・22歳の山本祐大捕手が3試合フル出場し存在感を発揮した。現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で計21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が解説する。

伊藤光は交流戦で「2番・捕手」に定着。過去最高の2007年に並ぶ3位に導く原動力となった。それだけに三浦大輔監督は、当面試合に出られない伊藤光の1軍登録をあえて抹消せず早期回復を待ち、一方で23日の巨人戦から4試合連続で若い山本に先発マスクを託した。山本は25日からの対阪神3連戦を計4失点に抑え、26日には打撃でも4打数3安打1打点と貢献した。

27日の試合をチェックした野口氏は「おそらく試合前のミーティングで首脳陣から言われた通りだったのでしょうが、打者ごとに方針が明確な、いいリードをしていた」と評価。「4番の大山に対しては落ちる球より外へ逃げていくスライダー系で攻め、佐藤輝にはインハイのストレートと低めに落ちる球のコンビネーション。近本には4打数3安打と打たれましたが、外角攻めを徹底していました」。

1番・桑原は13打数6安打2本塁打で牽引「今の調子をいかに維持するか」

山本は京都翔英高を経て、BCリーグ・滋賀から2017年ドラフト9位で入団。強肩強打で、昨季は1軍2試合出場にとどまったものの、イースタンで驚異の盗塁阻止率.619をマークした。野口氏は「2軍での成績とはいえ昨季の盗塁阻止率は当然、阪神サイドも承知していたはず。モーションの大きいシャッケルフォードの登板中、近本に1盗塁こそ許しましたが、抑止力になっていたと思います」と指摘。リード面でも「ベテランの伊藤光であれば、チームの方針がどうあれ、個人的な配球の傾向が出る。阪神サイドにとっては、対戦経験の少ない山本の配球を最後までつかめなかったのではないか」とプラス面があったと見る。

山本が伊藤光欠場の穴を最小限にとどめた一方で、1番を打つ桑原将志外野手はこの3連戦で13打数6安打2本塁打の大当たり。今季トータルでも打率.300とした。「ムードメーカーでもあり、チームに与える影響が大きい選手。好不調の波が大きい傾向があるので、今の調子をいかに維持していくかでしょうね」と野口氏。

交流戦明けに黒星が先行したDeNAだが、首位・阪神を3連破して再びムードは盛り上がった。27日現在、最下位の広島を0.5ゲーム差上回り5位。さらに上位をうかがう要素が揃いつつある。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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