藤川千愛、「これからも一緒に生きていこう」ワンマンライブ有観客ライブで藤川千愛が伝えた思い!

藤川千愛が6月26日、 渋谷TSUTAYA O-EASTで有観客ワンマンライブを開催した。 藤川千愛は全17曲をパフォーマンス。 未発表の新曲2曲に加えてクリープハイプや銀杏BOYZのカバーなど、 藤川の現在の音楽性とルーツが入り混じった多彩なセットリストによる熱演が行われた。 ライブが決定したのは開催3週間前、 急遽開催が告知されたライブでありながらTSUTAYA O-EASTにはフロアのシートを埋め尽くすオーディエンスが集結。 発声禁止などライブでの感染対策を告げるアナウンスを聞きながら、 開演を静かに待ち構えていた。 暗転したホールの静寂へ、 藤川は赤のアンティークジャケットに髪飾りを合わせた彼女らしいユニークな衣装で姿を現した。 ステージ中央に到着した彼女が“走るあたしは止まんないよ”と高らかなアカペラで歌い上げるとそれに応えるようバンドは即座にヘヴィなプレイをスタート、 この夜のライブは「四畳半戦争」で幕を開ける。 気がつけばオーディエンスは総立ち、 「心の中にあるものを全部吐き出して、 音楽で解消して」と藤川がフロアに語りかけると、 バンドは一層ラウドに「神頼み」をプレイ。 ステージの左右を駆けながら藤川が“最近はいやなニュースばかり”“聞いてるの? 神様”といったメッセージを歌い上げると、 フロアも熱量を高めていく。

オープニングチューン2曲を終えた藤川は「みんながいると何よりも楽しいし、 みんながいてこそのライブ。 ダイレクトに伝えられることが大切なんだなって思う」とライブ開催の喜び語ると、 放送中のテレビドラマ『にぶんのいち夫婦(テレビ東京系)』のオープニング曲「片っぽのピアス」を披露。 シティポップ調の楽曲に合わせてミラーボールがホールにきらめくが、 それ以上にライブならではの醍醐味を感じさせたのは彼女の声量。 豊かなボリュームを持った藤川の歌声はフロアを包み込むように反響し、 観客一人一人の身体に浸透していくかのよう。 藤川が「べつにいいけど」「ライカ」と16ビートの楽曲を続けざまにパフォーマンスすると、 オーディエンスの掲げる手のひらやハンドクラップによりフロアは一体感をまとっていった。 テンションを上げていくオーディエンスの姿を眺め「ライブって、 音楽って最高だな。 音楽への感謝を込めて」と感極まった表情で語ると、 藤川はトレードマークとなるギブソン・レスポールを抱えてアンセミックなロックチューン「愛はヘッドフォンから」をパフォーマンス。 歓声こそないものの、 力強い拍手と振り上げられた拳で溢れるフロアはコロナ禍以前と全く変わらない、 ライブハウスの姿に。 藤川はそんな観客に応えるべく「葛藤」「嗚呼嗚呼嗚呼」とハードなロックチューンを畳みかけ、 轟音のカタルシスを生み出していく。

熱狂の前半戦を終えると、 藤川はムードを一変させてアコースティックセットで3曲を歌い上げる。 1曲目に披露されたのは未発表の新曲「手のひらの中で」。 地元の友人の実体験を聞く中で生まれたという同曲は、 マッチングアプリを通した現代の恋愛の形を歌い上げるバラード。 これまで自分の思いを一人称で叩きつけるような歌詞を主としてきた藤川だったが、 この新曲の歌詞はそれよりも一歩引いた視点で描かれており、 彼女の新たな創作のスタイルを予感させた。 新曲に続いて藤川は「おまじない」「東京」を披露。 これまで重層的なバンドサウンドで鳴らされてきた両曲だが、 ギターとピアノというシンプルなバッキングが際立たせたのは藤川のヴォーカルの圧倒的な情報量。 ハイトーンからウィスパーボイスへ、 ビブラートからコブシのような彼女特有の節回しへ。 繰り広げられるヴォーカルのテクニックと、 その合間に聞かれるリズミカルなブレス。 剥き出しになって響く一つ一つの歌は、 彼女自身が持つ反骨精神、 愛嬌、 音楽愛、 シンガーとしての理想像など、 彼女のパーソナリティをも剥き出しにして響かせた。 あらゆる音源、 あらゆるハイレゾを越えたライブハウスという環境に響く彼女のヴォーカルは、 オーディエンス一人一人の心へライブに訪れることのできる喜びを刻んだに違いない。 濃密なアコースティックを終えると藤川はさらに新曲「そんなんばかりループ」を初披露。 「承認欲求へのアンチテーゼ」と藤川が楽曲のテーマを明言したこの楽曲は、 SNSとの付き合い方に悩む現代人の姿をシティポップスタイルのコードに乗せて描く1曲。 これもまた時代を切り取るポエットとしてのスタイルで書き上げられており、 リリースが楽しみに待たれる楽曲だ。

藤川は「リフレイン」「あなたを嫌いになれました」とスウィートなメロディを持った楽曲を歌い繋ぎながらライブはいよいよフィナーレへ。 8月22日にTSUTAYA O-EASTで再びワンマンライブを行うことを告知した藤川は本編ラストに「hane」をパフォーマンス。 「世界がどんどん良くなるように」と願いを込めて藤川がタオルを振りかざして演奏が始まると、 オーディエンスも満場のタオル回しとハンドクラップでレスポンス。 藤川のライブに対する考え方が反映された多幸感に包まれたフィナーレとなったが、 この夜のステージはまだ終わらない。 アンコールでは再びレスポールを抱えてステージに登場した藤川は、 クリープハイプと銀杏BOYZのカバーをプレイ。 「皆にいつも生かされていて、 ありがとう。 これからも一緒に、 生きていこう!」という言葉によって幕を閉じたこの夜のライブだったが、 2時間に及ぶパフォーマンスを通して藤川は笑みを一度も絶やすことなくステージに立ち続けた。 このコロナ禍における憂鬱を、 そしてそれがもし過ぎ去ったとしても続く日々の悩み。 それらを解消するための音楽の形を藤川は今日のライブを通して見出したのかもしれない。

撮影:石原汰一

セットリスト

01 四畳半戦争 02 神頼み 03 片っぽのピアス 04 べつにいいけど 05 ライカ 06 愛はヘッドフォンから 07 葛藤 08 嗚呼嗚呼嗚呼 09 手のひらの中で *Acoustic *新曲 10 おまじない *Acoustic 11 東京 *Acoustic 12 そんなんばかりループ *新曲 13 リフレイン 14 あなたを嫌いになれました 15 hane EN01 オレンジ EN02 援助交際

*セットリスト/プレイリスト配信リンク https://nippon-columbia.lnk.to/BackToNormal

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