史上初の体操・新体操の同時開催 FIG渡辺会長「スポーツの存在意義の“答え”となる大会に」

FIGの渡辺守成会長

東京五輪後の10月に開催される「2021世界体操・新体操選手権北九州大会」の組織委員会設立総会が28日、オンラインで行われた。

今大会は1881年の国際体操連盟(FIG)設立以来、史上初の体操と新体操の世界選手権同時開催。体操は10月18~24日(北九州市立総合体育館)、新体操は同27~31日(西日本総合展示場新館)に行われ、東京五輪の〝レガシー第1号〟の大会となる。

FIG渡辺守成会長(62)が「今までにない挑戦。スポーツの存在意義が問われている今、その答えとなるような大会にしたい」と意気込むように、様々な革新的要素が詰まっている。まずは日本が世界に後れを取っている多様性とジェンダー平等の具現化だ。

組織委員会の女性委員には元体操女子日本代表の田中理恵(34)、元新体操フェアリージャパンの畠山愛理(26)らが名を連ね、女性委員が55%、外国人比率は14%。国際オリンピック委員会(IOC)のウーマンインスポーツ委員会のリディア・ヌセケラ委員長は「五輪開催からわずか2か月後にジェンダー平等をテーマにした世界大会が実現されることに驚くとともに日本社会に対して最大限の敬意を表したい」と賛辞を送る。

また、新型コロナウイルス対策と情報提供は東京五輪を上回る精度だ。有観客と無観客だけではなく「延期や中止など全ての可能性を排除しない」として、徹底した情報共有にこだわった。毎月1日にコロナ対策の進捗状況を公表し、世界各国からの参加予定者に対して日本および福岡県の新規感染者数や実行再生産係数(厚労省データ)、変異株の情報、県民のワクチン接種状況などを開示。渡辺会長は「リスク回避のための情報オープン化が安心につながる。それがこの大会のスタンス」と言い切る。

そして最大のテーマは「新たなスポーツの価値」の追求だ。「21世紀の産業革命はスポーツから」との信念を持つ渡辺会長は「パンデミックは新たな価値観を生み出した。スポーツを通して、社会にどう貢献できるか?にフォーカスし、新しいスタイルにチャレンジしたい」と話す。

依然として東京五輪の開催是非は問われている。その問題提起まで含めた〝レガシー〟として、スポーツ界に一石を投じる大会になりそうだ。

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