米報告書でUFO「143件」認定の衝撃 半世紀前と見解一変したウラに “科学万能論” の自戒

マルコ・ルビオ上院議員(ロイター)

米情報機関を統括する国家情報庁長官室が先週末、米議会に関する報告書を提出したことが、UFOマニアで騒動になっている。

結論として未確認飛行物体の144件のデータの中で分かったのは、「気球がしぼんだ1件だけで、ほかは分析しても分からない」という内容だった。それでも、UFO=未確認飛行物体を認めたのは、UFOマニアにとって歓喜のことだった。以前までは、どんな不明の飛行物体でも、プラズマや風船など、何らかの既知の物として説明していたからだ。

UFO研究家の竹本良氏は「今回のペンタゴン発表でガッカリした人も多いのではないでしょうか? 期待していた宇宙人の公開にならなかったからです。しかし、半世紀前のロバートソンパネルやコンドン白書ではどうだったでしょうか? プロジェクトサイン、グラッヂ、ブルーブックと研究したあげく、UFO報告の9割は自然現象や既知の航空機の誤認であり、未確認は1割にも満たなかったんです。つまり、過去の報告はすべて、UFO否定! しかも、その1割のUFOは国家安全保障上脅威ではないという結論だったんです」と語る。

それなのに、今回は144件中、たったの1件だけが内部の気体が漏れてしぼむ大きな気球と確認されただけで、あとの143件は正体不明だったのだ。

「そのうち21件が物体の推進装置が見当たらないにもかかわらず、高速で不規則に移動する〝異常な動き〟を示し、11件は物体が航空機に異常接近した事例。したがって、国家安全保障上の脅威になりうることが分かったんです。つまり半世紀前の結論とは真逆。『UFO否定』VS『UFOもしくはUAP(未確認航空現象)肯定』なんですよ。国家安全保障上脅威ではない見解VS脅威論なんです」と竹本氏。

この真逆の判断については、科学の立ち位置も関係するのではないだろうか。半世紀前はいわば科学万能論、つまり科学で分からないものなどあるわけない、というのが学問だったのだ。

「現在の科学は、宇宙のことは96%、脳は95%、DNAは98%が分からないと、科学者自身が認めています。つまり、科学者たちは100点満点でいえば、宇宙4点、脳5点、DNA2点しか取れておらず、どうみても落第生並みなんです。そういう背景があり、この公表が分からないものは分からないのだと、正直に告白しているのがすごいことなんです。しかも、宇宙人の宇宙機の可能性も全く否定していないのですから」(同)

報告書を受け取った米議会のマルコ・ルビオ上院議員が「この報告書は重要な一歩だが、最初の一歩に過ぎない」と言ったように、未来への扉を開いたのだろう。

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