BTCC第3戦:ホンダ、予選最前列独占も勝利ならず。モーガンがBMWスイッチ後初優勝

 6月26~27日にブランズハッチのショートレイアウト、インディ・サーキットで開催された2021年BTCCイギリス・ツーリングカー選手権第3戦は、今季から名門チーム・ダイナミクスに加入したダニエル・ロウボトム(FK8型ホンダ・シビック・タイプR)が、自身初の予選ポールポジションを獲得した。同じく今季から古巣に戻りBTCC復帰を果たした3冠王者、ゴードン・シェドン(FK8型ホンダ・シビック・タイプR)を従えホンダ勢が最前列を占拠したものの、惜しくもレース制覇はならず。

 週末の3ヒートは、ウエスト・サリー・レーシング(WSR)のトム・オリファント駆るBMW330i M-Sportと、新生ギンスターズ・エクセラー8・ウィズ・トレードプライズカーズ・ドットコムへ移籍したトム・イングラム(ヒュンダイi30ファストバック Nパフォーマンス)、そして今季からBMWにスイッチしたアダム・モーガン(BMW330i M-Sport/カー・ゴッツ・ウィズ・シシリー・モータースポーツ)がそれぞれ勝利を飾っている。

 第2戦スネッタートンでは、予選最速記録後にまさかの車検失格処分でシェドンのポールを失っていたチーム・ダイナミクスだが、このツイスティな1.2マイル(約2km)のトラックでもシビックのスピードは衰えず。今度は移籍組のロウボトムがキャリア初のポールを獲得し、フロントロウにシェドンが並んで最前列をロックアウトしてみせた。

 2列目3番手にはジェイク・ヒル(フォード・フォーカスST/MBモータースポーツ・アクセラレーテッド・バイ・ブルースクエア)とBMWのオリファントが並び、3列目5番手にはディフェンディングチャンピオン、アシュリー・サットン(インフィニティQ50BTCC)の僚友エイデン・モファット(インフィニティQ50BTCC/レーザー・ツールズ・レーシング)がつけるなど、シーズンも進み新鮮な顔ぶれが並ぶ上位グリッドとなった。

 前戦に続きスタンドで多くのファンが見守る中でスタートを迎えたレース1は、やはりトラクションに優れるFR勢のBMWとインフィニティが主導権を奪い、4番グリッドのオリファント、5番グリッドのモファットが続けてFFハッチバック勢を仕留めてターン1へ。遅れたポールシッターのロウボトムに代わり、僚友シェドンが3番手でFRサルーンを追走する展開に。

 すると、シェドンとモファットが5周目の攻防でわずかに接触し、これでインフィニティQ50BTCCが大きくドロップ。対照的にロスを最小限に留めたシェドンは終盤に向けファステスト連発で前を追ったがポジションを奪うには至らず。

「最初の5周は“予選モード”で逃げたが、まさかここで勝てるとは思わなかった」と語ったオリファントが24周を走破し、BTCC通算2勝目をマーク。シェドンと初表彰台ロウボトムの2台がポディウム両脇を固め、4位ヒルの背後には、7番手発進だった選手権首位サットンが続くトップ5となった。

第2戦から観客動員が実現したBTCC、第3戦ブランズハッチでも来場したファンの声援にドライバーたちが応えた
今季から名門Team Dynamics(チーム・ダイナミクス)に加入したダニエル・ロウボトム(FK8型ホンダ・シビック・タイプR)が、自身初の予選ポールポジションを獲得
R1は、やはりトラクションに優れるFR勢のBMWとインフィニティが主導権を奪うスタートに
BTCC通算2勝目をマークしたトム・オリファント(BMW330i M-Sport)。「ゴードン(・シェドン)は百戦錬磨の男だし、抑えるのはタフな仕事になると覚悟した」

■インフィニティのサットンが選手権首位にカムバック

 そのままレース1勝者のオリファントが主導権を握ったレース2は、75kgとバラスト満載のBMW330i M-Sportが27周レースの26周でリードラップを奪ったものの、前戦6位フィニッシュだったイングラムが執念の追い上げを見せる。

 迎えたファイナルラップで首位BMWのテールに迫ったヒュンダイは、ターン1の“パドックヒル・ベンド”からスリップに着くと、続くヘアピン“ドルイド”でわずかにボディを擦り付けながらパッシングに成功。

 さらに最終コーナーではサットンのインフィニティも負けじとBMWとサイド・バイ・サイドに持ち込み、そのままフィニッシュラインへ。わずか0.038秒差の“フォトフィニッシュ”で逆転に成功したサットンが、勝者イングラムにポイントリーダーの座を明け渡しながらも、傷を最小限に留める好走を披露した。

 この努力が続く最終レース3で実を結び、12位に終わったイングラムに対して、サットンはトップ10圏内を走行。その前方では、リバースグリッド抽選で最前列を引き当てたモーガンが、こちらも2021年投入の新型クプラ・レオンBTCCに乗るジャック・ゴフ(チーム・ハード・ウィズ・オートブライト・ダイレクト)とモファットのインフィニティを引き連れ、BMW投入3戦目での初勝利を獲得してみせた。

「昨日予選を終えたときは21番手で、この日曜は厳しい戦いになると思っていた。リバースグリッド抽選はとてもラッキーで、そこからはレースを管理するだけの状況に持ち込めた。BMWとわずか3戦目で初勝利を掴めるなんて、チームの努力に心からの感謝を捧げたい」とモーガン。

 そしてこのレースを7位でフィニッシュしたサットンが、わずか3点差でイングラムを再逆転して短いサマーブレイクを迎えることとなった。

「まだまだシーズンは初期段階だけど、この週末はウエイトを積みながら予選7位と粘ることができた。レース2での2位はボーナスみたいなものさ。まだ長い道のりだけど、ボードの最上位に名を連ねるのは良いことだね」と、リードを維持したサットン。

 続くBTCC第4戦は約1カ月後、7月31日~8月1日の週末にオールトンパークで再開される。

勝者オリファントが主導権を握ったR2は、前戦6位フィニッシュだったトム・イングラム(ヒュンダイi30 N Fastback)が執念の追い上げ
予選5番手から、8位、9位、そして3位表彰台と輝きを見せたエイデン・モファット(インフィニティQ50BTCC/Laser Tools Racing)
レース2でステファン・ジェリー(BMW330i M-Sport)と絡んだゴードン・シェドン(FK8型ホンダ・シビック・タイプR)はポイント獲得ならず
「選手権上のライバル(コリン・ターキントン)が不遇の週末を過ごしたときに、確実に得点を奪えるかが重要」と、重いマシンで3連続トップ10のアシュリー・サットン(インフィニティQ50BTCC)

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