巨人・菅野またも背信KOで五輪暗雲 原監督との信頼関係も「亀裂」の危惧

菅野の背中が小さく見える…

巨人は1日の広島戦(東京ドーム)で10―4の逆転勝ちを収め、5カード連続の勝ち越しを決めた。ただ、不安材料が尽きなかったのがエース菅野智之投手(31)だ。2被弾を含む3回途中4失点KOで、出場が内定している東京五輪の侍ジャパンにも暗雲が垂れ込めた。さらに、調整と復帰を繰り返しながらも状態が上向かず、原辰徳監督(62)との信頼関係にも亀裂が入りかねないとの観測まで広がっている。

G打線の奮起が逆境をハネ返した。3回までに4点をリードされながら、直後の攻撃で松原の8号2ランで反撃の口火を切ると、4回は代打・広岡の逆転2点適時二塁打などで一挙6得点。7月を白星発進し、首位阪神に2ゲーム差まで接近した。

とはいえ、そもそも劣勢を招いたのは、この日が18日ぶりの復帰戦となったエースの乱調だった。3回に西川にソロ、鈴木誠にはバックスクリーンへ2ランをたたき込まれ、6安打を浴びて球で降板。右腕は「チームに迷惑をかけて申し訳ないです。一日でも早く100%の状態に戻れるように頑張ります」と球団を通じてコメントした。

もちろん、菅野の状態は開幕が1か月後に迫る侍ジャパンにも直結してくる。この日は日本代表でも先発の柱として期待する建山投手コーチが視察に訪れていた。

さらに、リーグ3連覇と日本一奪回へ突き進むチームでの立ち位置も気がかりとなってきた。試合後の原監督は「(菅野と)少し話をする必要はあるなと思っています。あれが本来の姿であるならば、それは違うでしょうな」と冷静に話した一方で「原監督の我慢も限界に近づいているのではないか?」と見る球界関係者は少なくない。

というのも、菅野は日本球界を代表するエースとなり、調整法などは本人に〝一任〟されてきた。その背景にはあるのは、この日も原監督が「キャリアを持っている人。自分のことというのは自分でかなり理解してくれている」と語った圧倒的な信頼だ。

しかし、今季は3月26日の開幕戦で「脚の違和感」を訴え、5月には「右ヒジの違和感」で緊急降板して約1か月間離脱。その後は2試合に登板したものの本調子になく、再調整の申し出を受け入れて6月16日に今季3度目となる抹消措置を取った。

ある他球団関係者は「監督の立場からすれば『これだけの時間を与えて何をやっているんだ』という思いは強いはず。菅野にもエースという立場があるので、どこまで言うかは分かりませんが…。内心は相当穏やかではないことは間違いないはず」と推測した。

原監督は赤ヘル打線にのみ込まれた菅野と先発マスクをかぶった小林を同時に交代させる際、グラウンドに向かって「ベンチに戻って来い!」と言わんばかりに珍しく左手で〝手招き〟していた。

本来ならば、先発ローテの大黒柱となるはずの菅野はこの日で9試合目の登板。宮本投手チーフコーチは「僕の中では次の登板は難しいのかなというのはあります」と4度目の抹消を示唆した。

繰り返されるコンディション不良と調整不足で、鉄壁の信頼関係にまでヒビが入ってしまうのか…。菅野の〝一発快投〟が待たれる。

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