習近平主席の演説は「台湾侵略宣言」 中国共産党100周年で正当性誇示

習近平主席(ロイター)

台湾侵略を宣言した形だ。

中国共産党は1日、北京の天安門広場で創建100年を記念する祝賀大会を開いた。習近平党総書記(国家主席)が演説し、貧困から脱却して経済や国民生活に一定程度のゆとりができる「小康社会」を全面的に達成したと宣言した。経済発展の功績を訴え、一党支配の正統性を誇示した。習氏は来年秋に予定される第20回党大会で総書記3期目入りを狙っており、長期支配も見据える。「中華民族の偉大な復興」を掲げ、求心力をさらに高める構えだ。中国は経済規模で2030年より前に米国を抜くとの見方も広まる。

習氏は「善意の批判は歓迎するが、偉そうな態度の説教は絶対に受け入れない」と表明。外国からの圧迫は容認しないと述べ、人権問題などを巡る欧米諸国による中国批判を受け入れない姿勢を示した。香港については国家安全法制を着実に実行して「国家の主権、安全、発展の利益を守る」と述べ、統制の強化を訴えた。また台湾の「平和的な統一」を進めると強調する一方「いかなる台湾独立のたくらみも粉砕する」と述べ、独立志向の台湾民主進歩党(民進党)などをけん制した。

こうした発言について、中国事情に詳しい評論家の石平氏はこう指摘する。

「香港に対しては、徹底的に反体制勢力をつぶして言論の自由や人権を完全に弾圧する、政治的支配をするという意味だと捉える。香港を完全につぶしてしまおうという規制方針。また、台湾は現在はほぼ独立国家として成り立っているが、中国はいずれ必ず武力を使って台湾を侵略するという考えを持っている。今日の演説で台湾侵略を宣言したと受け止めるのが妥当です。これにより台湾は、より一層危機感を持ち他国の支援を受けながら中国の侵略を食い止める決意を固めるのではないか」

平和的な統一は夢物語なのか。

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