阪神・中谷トレード獲得だけじゃない 鷹が〝米国市場〟で狙う次の獲物

工藤監督のやり繰りにも限界があるだけに…

真夏の補強は終わらない。ソフトバンクは2日、二保旭投手(31)と阪神・中谷将大外野手(28)の交換トレード成立を発表。今後は最大の補強ポイントを埋めるべく「外国人リリーフ」の獲得を狙う。

鷹フロントには、明確かつ一貫したミッションがある。「中継ぎ投手」の補強だ。現在、貧打に苦しむ一軍の戦いぶりから「意外」「的外れ」と映るかもしれない。

だが、フロントは1か月先、3か月先の戦力を計算して有事に備えるのが仕事だ。実際、チーム内からは「野手の上積みは見込める。森の状態が不透明で、若い投手も多いことを考えれば後ろの投手」という声がある。

離脱中の野手では周東が来週末にも二軍戦に出場予定で、デスパイネも今月中の実戦復帰を見込む。回復が遅れているグラシアルも8月中の一軍復帰を見据える。

一方で充実しているように映る投手陣は、先発こそ千賀の一軍帰還が決まるなど飽和状態だが、中継ぎ陣については現場、フロントともに「後半戦の駒不足」を懸念してきた。すでに前半戦の殊勲者である泉が離脱。現在、勝ちゲームを託される津森、板東らも年間を通して戦った実績がない。代役守護神の岩崎をはじめ既往歴のある投手も多い。有事が重なれば、やりくり上手の工藤監督もお手上げの〝アキレス腱〟となるだけに不安は尽きない。

そうした事情からフロントはトレードでの中継ぎ補強を模索。ただ「求めるレベルの中継ぎを獲るのは難しい」(球団関係者)のが、ここまでの経緯だ。今回の阪神との交換トレードも起点は「中継ぎ探し」で、動いた結果「チーム事情で出番に恵まれない選手を生かす」という思惑が一致して〝副産物〟としてまとまったものだった。いまだ補強ポイントは埋まらずの状態。今後は米国市場に重点を置きつつ、リリーフ適性の高い投手の補強を目指す。

現在、首位オリックスを4・5ゲーム差で追う鷹。フロントのミッション完遂の成否に、常勝の未来がかかっている。

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