小池都知事「倒れても本望」は計算ずく 選挙応援行かない代わりの“置き土産”

急きょ会見を行った小池都知事

狙いは一体どこにあったのか? 〝過度の疲労〟で静養し、先月30日に退院した小池百合子都知事(68)が、2日に行った定例記者会見で発言した「倒れても本望」という発言が物議をかもしている。当初は中止の予定だったが、一転して開催した会見で飛び出したトレンドワードにネット上では批判の声も…。ただ東京都議会選挙(4日投開票)で戦う「都民ファーストの会」の候補者には、大いに響いたという。

「東京都にとって今ほど重要な時期はない。引き続き都庁の職員らと山積する課題に取り組んでいく。どこかでバタッと倒れているかもしれない。それも本望だと思ってやり抜いていきたい」

会見の冒頭から小池氏の声は小さかったが、この部分の発言だけは力がこもっていた。それだけに「倒れても本望」がトレンドワード1位になるほど、強烈なインパクトを残した会見となった。

会見場に現れた小池氏の足取りは重く、顔色も決してよくなかった。前回の、6月18日に行った記者会見ではマスクを取って会見に臨んだが、この日はマスクを着用し続けた。よく見ると頬がこけているようにも見える。時折せき込むシーンもあり、体調の悪さをうかがわせた。

前日の時点では登庁の予定がなく、定例会見も行わない方向だった。この日の午前中でさえ、都庁担当者は「会見はない」と答えていたほどだ。ところが午後1時になって「開催する」との報。しかも時間は午後4時スタートという、夕方のニュース番組にドンピシャのタイミングに設定された。永田町関係者から「復帰会見として注目されることを織り込んでのことだろう」と、計算ずくとの声が上がるのも無理はない。

計算通りか、ほとんどのメディアで取り上げられた「倒れても本望」発言だが、ネットでは批判が集まっている。「今はそんなの流行らないし、支持されないよ」「長時間労働を強要させる極めて不適切な発言です」「東京都のトップがこんな昭和のような発言しちゃダメ」などと働き方改革とは逆行していると評判が悪い。

しかし、ある都民ファ候補は「小池氏に倒れられては困るので、そうならないように支えなければならない。そのために当選しないといけない。今は1人でも多く当選することが小池氏を励ますことになると思う」と意気に感じている。別の候補も「今度は我々が支える番だ」と話しており、候補者や都民ファ支持者の結束を固めるには絶大な効果を持ちそうだ。

都民ファについて小池氏は「ご承知のように都民ファの特別顧問をしているので、当然頑張ってもらいたい」と明言。その上で「今回は選挙戦に直接加わっていませんが、街頭演説であるとかコロナの中で非常にやりづらい選挙。ただ私は東京大改革を担ってきた都民ファの皆さんにはエールを送っている」とも述べた。

もともと小池氏は、街頭演説を行って人が密集することを懸念していたという。都民ファ関係者は「実は静養する前から、小池氏はコロナのこともあって応援演説に抵抗があったようです。都民には『外出しないでほしい』と訴えておきながら、一方で自分は街頭に出て選挙応援するのは都民の理解が得られないのではないか、ということでした」と話した。

小池氏が今回、予定を変更してまで会見を強行したのは、選挙戦最終日の3日に街頭演説には立たないかわりに、夕方のニュースを使った〝最後のアピール〟だったのかもしれない。

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