ついにそろった「リレー侍」 金メダルの切り札・桐生祥秀は決勝〝一発勝負〟か

リレー代表に選ばれた桐生祥秀

金メダルの〝切り札〟となるか。日本陸連は東京五輪代表を2日に発表し、男子短距離の桐生祥秀(25=日本生命)を400メートルリレー代表に選出した。これまで多くの国際大会でメダル獲得に貢献した3走での起用が濃厚だが、右アキレス腱痛がどこまで回復するかは不透明。悲願の頂点には欠かせない存在だけに、コンディション次第では決勝限定の〝一発勝負〟で起用される可能性もありそうだ。

注目の〝リレー侍〟のメンバーが出そろった。残り1枠となっていた100メートル代表は、先日の日本選手権100メートルで4位だった小池祐貴(26=住友電工)が選ばれ、すでに内定していた多田修平(25=住友電工)、山県亮太(29=セイコー)を含めた3人で決定。400メートルリレー要員には桐生に加え、同選手権100メートル、200メートルでいずれも2位だったデーデー・ブルーノ(21=東海大)が入った。

一方で、リレー種目は200メートルで代表入りしたサニブラウン・ハキーム(22=タンブルウィードTC)ら、個人種目の代表選手の出場が可能。陸連の山崎一彦トラック&フィールドディレクター(50)も「戦略上は100、200の選手が出るということになる」と説明した。

リレー代表に決まった桐生は、自身のインスタグラムで「リレーの経験は誰にも負けない自信があります」と率直な思いをつづった。小池が優勝した200メートルで代表になれば、桐生が100メートル代表に繰り上がる可能性もあった。結果的に個人種目での出場は逃したものの、リレーにかける並々ならぬ意気込みをにじませた。

これまで2016年リオ五輪銀、17年世界選手権銅、18年アジア大会金、19年世界選手権銅と数々の国際大会でメダル獲得に貢献した桐生は、優れたコーナーワークやバトン技術で3走を〝主戦場〟にしてきた。本番もアンカーにつなぐ重要なポジションでの起用が濃厚だが、無条件で任せられるかと言えばそうでもない。

気になるのは日本選手権で「歩いているだけでも痛い」と話していた右アキレス腱の状態。山崎ディレクターは「陸連のチームドクター等にも診断を受けており、その結果『何とか間に合うのではないか』という所見をいただいている」と話したが、本来のパフォーマンスを発揮できるかは不透明だ。

とはいえ、悲願の金メダルへ欠かせない存在であるのは間違いない。そこで浮上するのが、決勝のみの〝1本勝負〟での起用プランだ。日本選手権では初日の予選が10秒12、準決勝は10秒28。第2日の決勝も10秒28だった。1本目がベストタイムだったことを踏まえると、五輪本番で予選は温存し、決勝に照準を合わせる起用も十分に考えられる。

9秒台スプリンターが顔をそろえるリレー侍は、最終的にどんな戦略で臨むのか。桐生の役割も含めて注目を集めそうだ。

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