ワクチン供給量3割減 長崎県内の64歳以下接種に影響 現場からは不満

県内市町へのワクチン供給量

 全国の自治体に供給される米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンの総量が7月以降、約3割減る。長崎県内21市町は、65歳以上のワクチン確保の見通しは立っているが、今後本格化する64歳以下の接種の計画変更を迫られる自治体もありそうだ。接種加速の旗を振りながら不足を補えない国に対し、現場からは「急がせておいて、はしごを外すのか」と不満も漏れる。
 米モデルナ製を使う企業や大学の接種も申請受け付けが停止された。「接種スピードが上がり、供給が追い付かない」(河野太郎行政改革担当相)状態になっている。厚生労働省によると、ファイザー製の供給量は4~6月は約5千万人分。7~9月は約3500万人分に減る。
 ワクチンは2週間ずつ、1箱に1170回分を入れて届いている。県によると、国が定めた配送時期のうち、第8クール(6月21日~)は185箱だったが、第9クール(7月5日~)は129箱に減少。6月下旬に示される予定だった第10クール(7月19日~)の供給量は未定のままだ。
 佐世保市は64歳以下の接種券を6月末に発送し終え、予約受け付けを順次始める。希望する全市民への接種完了時期を9月末としていた。ところが、第6クール以降、32箱ずつ届いていたのが、第9クールは15箱に半減。32箱を前提に計画していた市担当者は「見通せなくなった。いつ、どの程度届くのかを国に示してもらわないと、予約枠をつくれない」と困惑する。
 長崎市は現在、64歳以下に接種券を発送中。21日からは16~59歳の集団接種の予約を開始する。ただ、第9クールの供給量は17箱にとどまり、第8クールに比べ約3分の1に。市担当者は「予約や在庫の状況を確認しながらスケジュール通り進められるか再検討する」と話す。
 県医療政策課の担当者は「各市町は医療従事者や会場の確保など接種のペースを上げるため相当努力している。国は確実に必要量を供給するとともに正確な情報も提供してほしい」と注文する。

 


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