トランポリン男子の岸大貴は2012年ロンドン五輪女子代表の彩乃さんを姉に持ち、きょうだいで切磋琢磨(せっさたくま)しながら力を伸ばしてきた。代表入りが決まった東京五輪を前に思いを聞いた。(共同通信=中嶋巧)
―五輪が近づいている心境は。
五輪出場については、楽しいとかわくわくする気持ちもあるけれど、プレッシャーの方が大きい。東京開催だし、国を代表して出るという使命感がある。自分がメダルを取りにいかなければならないという思いが一番強い。
―彩乃さんが今年4月に引退。
僕自身、姉に引っ張られた部分はあったし、五輪が現実のものになったのは、姉が出たことがきっかけだった。それまでは夢物語と思っていたので、本当に出られるんだということをすごく感じた。(引退については)割と前から聞いていて、シンプルに「お疲れさま」という気持ちだ。
―一番記憶に残っている五輪は。
ロンドン五輪。姉だけではなくて、男子の競技も印象的だった。伊藤正樹選手がメダルを取れる演技だったのに(4位で)取れなくて、これでも駄目なんだと強く印象に残っている。
―東京五輪が延期になったときの気持ちは。
そのときは(新型コロナウイルスの感染拡大で)練習もできなくなって、焦りもあった。今は練習もできて、やるべきことも決まっている。頭の片隅に常に五輪のことを置いて、(今後の)大会に臨んでいきたい。
―東京五輪は無観客となる可能性も含め、開催を巡りさまざまな議論があった。
所属先の仕事として保育園でトランポリンなどを教えている。子どもたちや保護者の方など、いろんな人に会ったり話したりする中で、応援してくれているのを感じるし(五輪を)楽しみにしていると言ってくれる人がたくさんいる。(テレビなどを通じて)見てくれる人はたくさんいると思うので、会場に観客がいるかどうかはそこまで考えていない。
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岸 大貴(きし・だいき)17年に全日本選手権の男子個人を初制覇し、世界選手権で団体銅メダル。姉が同年の世界選手権女子個人銀メダリストで4月に引退した彩乃(あやの)さん。金沢学院大出、ポピンズ。168センチ、61キロ。26歳。石川県出身。