ボーナスシーズンです。「今年は少なかった」「出なかった」といった声を多く聞かれます。一方で、業種や職種によっては「ボーナスが増えた」という人もいるかもしれません。
ある程度金額が決まっている月収とは違って、ボーナスは実に「不確定」なもの。先行き不透明な時代だからこそ、これまでボーナスがコンスタントに出ていた場合でも、今後減ったりなくなったりする可能性があることを頭に入れておく必要があります。
ボーナスに変化があっても慌てることのないよう、家計を整える考え方をお伝えします。
ボーナスは実に不確定なもの
毎回当たり前のように出ていたボーナスが、突然減ったり、なくなったりということがよくあります。特にコロナ禍によって、一部の企業を除いて、ボーナスにマイナスの影響を受けた方も多いでしょう。
大きな影響がなかった人でも、今後どうなるかはわかりません。毎回コンスタントにボーナスを「当たり前」だと思って、ボーナスが入ることを前提に考えてしまうことは危険です。
例えば「毎月赤字だけれど、ボーナスが出るから大丈夫」と思っていたり、夫婦同じ会社に勤めていて、夫婦で住宅ローンを組み、ボーナス返済もある」という状況だったり。そこでボーナスが減ったり、なくなったりしては、家計が立ちいかなくなってしまうかもしれません。
お金に関する不確定なことは、シビアな目線で考えておくことが賢明。ボーナスは最初から「出ないもの」と考えておくといいでしょう。そのため、「クレジットカードのボーナス払い」「住宅ローンのボーナス返済」は、できるだけ避けておくことをおすすめしたいです。
ボーナスは「出たらラッキーだな」という気持ちで、そもそもアテにしないこと。何か買いたいものがあった場合、ボーナスが出る前にボーナス払いで買ってしまうのではなく、「ちゃんとボーナスが出てから考えよう」と先送りにするのです。
何事でも、期待したことが裏切られるとがっかりするわけですから、最初から期待しなければいいのです。ボーナスも期待しないでいて、思いがけず出ることになれば、うれしさも膨らむはずです。
今年のボーナスの使い道に「投資信託」がランクイン
では今回、「ボーナスが出た」というラッキーな方は、どんなふうに使う予定でしょうか。面白い調査があったので紹介します。
共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営するロイヤリティ マーケティングによる「Pontaリサーチ」(2021年5月28日~5月29日)にて実施した「第47回Ponta消費意識調査 2021年6月発表」を見てみましょう。
<夏のボーナスの使い道>
1位…貯金・預金(37.1%)
2位…食品(ふだん食べるもの)(5.3%)
3位…旅行(宿泊を伴うもの)(5.2%)
4位…外食(食堂・レストラン、和・洋・中ほか専門店)(4.1%)
5位…衣服(3.9%)
6位…財形貯蓄(3.1%)
7位…食品(お取り寄せなど、特別なもの)(3.1%)
8位…ローンや借り入れの返済(3.1%)
9位…株式(2.1%)
10位…投資信託(1.9%)
夏のボーナスの使い道として、5年連続の1位が「貯金・預金」で、2位以下を大きく離してダントツです。2位は、昨年までの4年間は「旅行(宿泊を伴うもの)」でしたが、コロナ禍で旅行が厳しくなった今年は、「食品(ふだん食べるもの)」が2位でした。ボーナスを預貯金にまわしたり、日ごろの生活に使ったりしたい人が多いようです。
そして、注目したいのが、「投資信託」が、この5年間で初の上位10位に入ったという点です。筆者も証券会社の方に取材をした際に、「コロナ禍で口座開設が増えた」という声や「投資についてのお問い合わせが多い」というエピソードをたくさん伺いました。
コロナ禍で収入が減ったり、家にいる時間が増えたり、お金の記事を読む機会が増えたりして気持ちの変化があった人が多いようです。「投資を始めてみようかな」→「でも、たくさんのお金をいきなり投資するのは怖いな」→「投資信託なら、少額から始められるみたいだな」→「ボーナスが入ったし、まさに始め時?」という流れでは、と推察します。
また、すでに投資信託を買っている経験者の人も、この夏もみんなで集まったり、旅行をしたりは難しいということもあるでしょうから、「いつものようにお金が使えないから、投資をしてさらに増やしてみようかな」と追加購入を考えた人もいるかもしれません。そして9位「株式」も、この5年間のうち最高の2.1%でした。
ただし、こちらの調査が5月末に行われたものなので、「実際の使い道」は少々異なるかもしれません。「預貯金をするつもりだったのに、ボーナス払いで大きな買い物をしてなくなってしまった」「投資を始めようと思ったけれど、結局一歩踏み出せなかった」という人もいるでしょう。
ぜひ、ボーナスが出た方は、自分の考えていたことと、実際の使い道がどうなっているか、振り返ってみてください。
ボーナスがない場合は、手取り8%の貯蓄でセルフボーナスを
ボーナスは不確定要素が多く、増える場合もありますが、減ったり、でなくなったりする場合もよくあります。また、会社員から派遣社員、フリーランスなどに働き方を変えた場合も、ボーナスがなくなりますよね。
また、年棒制で、ボーナス込みのお給料が12か月に均等に振り込まれるケースもありますし、正社員でもボーナスがもともと全くない、という方もいるでしょう。
その場合は、急な出費や、欲しいものが出てきたときの支払いに備えて、月々の貯蓄を多めにしておくことをおすすめします。セルフボーナスとでもいいますか、手取り月収の8%ほどを貯めていけば、1年間で手取り1か月分ほどのお金になります。手取り20万円の人なら、1万6,000円ですね。「こんなにたくさん貯められない」という人は、月5,000円でも年間6万円になりますから、何か大きなものを買いたいときに役立つでしょう。ボーナスがない人は、ぜひこの「セルフボーナス」を始めてみてください。
ボーナスは人によって、また世の中の流れや会社の業績などによって、実に異なるものです。「不確定なもの」ととらえて期待せず、出なくても困らないように考えておきたいですね。