岩佐歩夢、12台抜きで6位入賞。優勝はメルセデス育成のベスティ【FIA-F3第3戦オーストリア レース3】

 現地時間7月4日(日)、2021年FIA-F3第3戦オーストリアのレース3がレッドブルリンクで開催され、メルセデス育成のフレデリック・ベスティ(ARTグランプリ)が初優勝。岩佐歩夢(ハイテックGP)は6位入賞を果たした。

 レース3のスターティンググリッドは予選結果が反映され、レッドブルジュニアのデニス・ハウガー(プレマ・レーシング)がポールポジション。2番手はベスティ。3番手はアレクサンダー・スモリヤー(ARTグランプリ)。4番手はアルピーヌアカデミーのカイオ・コレ(MPモータースポーツ)、岩佐は18番グリッド発進となった。

 天候は曇り、気温18.7度、路面温度は33.5度でドライコンディションでタイヤ交換義務はなし。日本時間の18時05分にフォーメーションラップが開始され、24周の戦いがスタートした。

 コレがスタートできず、後方のマシンがコレを回避しながらのスタートとなったがアクシデントは無し。ハウガーがホールショットを奪うも、ここ2レースと同様に全車テール・トゥ・ノーズで1周目を完了する。

 5周目、2番手のベスティがターン3からのストレートで首位ハウガーのスリップストリームを使い、ターン4手前でパス。このレースで初めてラップリーダーが入れ替わった。

 この週末でもっとも気温が低く、レースが進むにつれて路面温度が徐々に低下。シビアな温度レンジでマシンセッティングを行うF3にとって、各チームも探りながらのレースとなっていく。

 7周目、スモリヤーがハウガーを抜いて2番手浮上。ただハウガーは焦ることなく、スモリヤーの後方に控えてチャンスを虎視眈々と伺う。その後方では5番手を争っていた7番手のアーサー・ルクレール(プレマ・レーシング)が2台まとめて抜き去ろうかというアグレッシブな走りを見せる。それでも大きな接触なくバトルを展開し6番手に浮上した。

 勢いに乗るルクレールは9周目に前をいくクレモン・ノバラック(トライデント)と半周に渡ってサイドバイサイドのバトルを展開。2台は順位を変えながら走行するが、最終コーナーでノバラックがポジションを守り切る。

 トップから12番手のカラン・ウィリアムズ(イェンツァー・モータースポーツ)までのそれぞれが0.5秒以内の差で走る大接戦となるなか、11周目にはトップ4がサイドバイサイド、テール・トゥ・ノーズでターン4に進入。ベスティが首位を守りハウガーが2番手浮上。スモリヤーが3番手、オリ・コルドウェル(プレマ・レーシング)が4番手というオーダーで後半戦へ突入することになった。

 14周目、ビクトール・マルタンス(MPモータースポーツ)と激しいつばぜり合いを演じていたルクレールがターン4進入でイン側にマシンを寄せるもタイヤをダートに落とし、コントロールを失いスピン。そのまま右フロントタイヤを破損し、ノバラックとマルタンスがコントロールを失ったルクレールと接触、3台は致命傷を負いリタイヤ。グラベルに停止したルクレールとノバラックのマシン回収のためにセーフティカー(SC)が導入される。

 トップはベスティで、岩佐はスタートから8つポジションを上げて10番手、レースは18周目から再開することに。全車の間隔がリセットされ残り7周のバトルがスタート、ベスティがトップをキープ、岩佐はひとつ順位を上げた。

 岩佐は21周目にも1台を抜いて8番手へ。次はチームメイトのジャック・クロフォード(ハイテックGP)をロックオン。するとターン3でクロフォードはブレーキングで前を走っていたジャック・ドゥーハン(トライデント)に追突、2台は後退し岩佐は6番手まで浮上する。

 クロフォードとドゥーハンは接触による影響でスロー走行しピットへ戻り、23周目にバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入されたが、トップのベスティが最終コーナーを回る手前でVSCは解除に。ハウガー、コルドウェル、スモリヤー、マッテオ・ナニーニ(HWAレースラボ)、岩佐のオーダーでファイナルラップを迎える。

 このまま順位は変わらずベスティが今季初優勝を飾った。2位にはポールスタートのハウガー、3位はコルドウェルが入り、ハウガーは3レースすべてで表彰台に立った。12台を抜いた岩佐が6位入賞を果たし、この週末に行われた3レースで順位を合計で37上げた。

 次戦は7月30〜8月1日にハンガリーで開催される。

■FIA-F3第3戦オーストリア レース3 暫定リザルト

Pos. No. Driver Team Time/Gap

1 7 F.ベスティ ARTグランプリ 24Laps

2 1 D.ハウガー プレマ・レーシング 1.124

3 3 O.コルドウェル プレマ・レーシング 1.741

4 8 A.スモリヤー ARTグランプリ 2.258

5 14 M.ナニーニ HWAレースラボ 4.147

6 11 岩佐歩夢 ハイテックGP 5.163

7 18 C.コレ MPモータースポーツ 6.785

8 29 L.サージェント チャロウズ・レーシング・システム 7.561

9 26 C.ウィリアムズ イェンツァー・モータースポーツ 8.320

10 25 J.エドガー カーリン 9.049

11 15 O.ラスムッセン HWAレースラボ 9.288

12 6 D.シューマッハー トライデント 9.605

13 30 E.フィッティパルディ チャロウズ・レーシング・システム 10.328

14 12 R.スタネ ハイテックGP 10.782

15 21 L.コロンボ カンポス・レーシング 11.319

16 9 J.マヌエル-コレア ARTグランプリ 11.645

17 19 T.バン・デル・ヘルム MPモータースポーツ 13.049

18 27 J.ホガード イェンツァー・モータースポーツ 14.677

19 23 I.コーエン カーリン 15.583

20 31 R.デ・ジェルス チャロウズ・レーシング・システム 16.202

21 22 A.コルデール カンポス・レーシング 16.358

22 28 F.ウグラン イェンツァー・モータースポーツ 17.200

23 16 R.ヴィラゴメス HWAレースラボ 17.850

24 20 L.トーチ カンポス・レーシング 19.104

25 17 V.マルタンス MPモータースポーツ 43.050

26 10 J.クロフォード ハイテックGP 1’15.956

27 4 J.ドゥーハン トライデント 1Lap

28 5 C.ノバラック トライデント DNF

29 2 A.ルクレール プレマ・レーシング DNF

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